旭駅本屋

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猫の手 ~猫でもわかる料理の基本~

 「包丁を持つ時、食材を抑える手は猫の手で」という言葉はどこかで聞いたことがあるかと思います。聡明なる読者諸兄は聞き飽きるくらい聞いてるかとも思います。創作においては猫の手をさせたいがために猫の手を啓発している節まで見受けられますが、そんなことはさておいておきましょう。とかく、包丁=猫の手というものが刷り込まれているかと思います。しかし、これは危険な刷り込みなのであります。何故なら、基本的に包丁は鉛直方向に動かすため、猫の手で無くても凡そアタリが付けられるためであります。また、桂剥きなどの猫の手で対応出来ない自体もままあります。なので、包丁=猫の手という刷り込みはよくないのであります。

 しかし、刷り込みが良くないのであって猫の手自体は悪いわけではないのです。そうなのです、猫の手は実は可能性が小さいのではなく内なるポテンシャルを秘めた魔法の布陣だったのです!

 

 ところで皆さん料理をする時に怪我をし易い調理道具ってなんだかご存知でしょうか?ここで導入から包丁ではななと察しが付いてくれる聡明な読者が多いとは思いますが、実際のところ包丁はそんなに怪我をするような調理道具ではないのであります*1

 怪我のリスクはそんなに見えやすいところから生じるものではありません。

 なんせ見えやすいリスクは大概踏む前に回避できるからであります。

 では包丁ではなければ一体何が危険なのか。

 

 スライサーです。

 

 スライサー、あっても中々使い所のない調理道具の一つですが、にんじんの千切りをピンポイントで錬成するには結構使い勝手の良い代物なのであります。実を言うと筆者はきんぴら大根を量産する癖がありまして、そうなるとどうしてもこいつのお世話になったほうが手っ取り早く錬成出来るわけであります。しかしどうでしょう、ただただ普通に人参の千切りを作っているだけだというのにスライサーには人参の色素の他にもヘモグロビンの深紅の色が混じってしまうのであります。そう、実はスライサーは非常に指を切るリスクの高い調理道具なのであります。

 一気に食材を指と共に刃の方へ引く、こう書くと結構ヤバみがあると思います。しかも鉛直ではなく水平にスライドさせること、応力的に下から支えたほうが安定すること、刃先は下面を基準面にすれば上にあること、これらの事柄を総合すると、包丁よりもむしろ指を損傷するリスクが高いわけであります。そんな危険なスライサーですが、ここで役に立つのが猫の手なわけであります。猫の手で食材をホールドすると、手首がガイドレールとして機能しうるため、指を切るリスクが格段に軽減されます。猫の手は意外なところでも効力を発揮するのです。

 

 ところで、調理道具にはスライサーの他にも便利であり包丁よりも指を持ってかれる危険の高い調理器具があるのですが、お分かりいただけるでしょうか?おそらくじゃがいもの皮むきで腐るほどお世話になっていると思います。

 

 そう、ピーラーです。

 

 ピーラー、人畜無害そうな顔しておいて意外とやべーやつです。多分やべーのは力いっぱいピーラーを振り下ろしている筆者でしょうが、そんなことは瑣末な差でありましょう。兎角、気を抜くとすぐに皮と一緒に爪も削って精神が削れていくのであります。

 ここでも役に立つのが猫の手であります、猫の手で支えている以上、応力的に把持側の反対をピーラーで剥くことになります。するとどうでしょう。猫の手であればどう曲面に添わせて広い面積を剥こうが指が切れることはないのです。そう、猫の手は意外と万能なのです

 猫の手=包丁という風潮がありますが、どちらかと言えば刃先があれば猫の手と言うべきでしょう。これを頭に入れておけば、読者の自炊ライフは快適なものになること間違い無しでしょう。

 

 刃先には猫の手です!

 

 スライサーに5回位指削られた筆者との約束だぞ!

*1:筆者の独断と偏見による