旭駅本屋

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安定した職場

 就活生の夢の一つ、それは安定した職場でしょう。次点で夢が来るかもしれませんが本項では無視します。とりま、就活生は安定に安寧を求めるものとして論を進めましょう。

 

 安定した職場、意外と多いと思います。そこら辺に転がってる創業ン十年の会社は大体安定してる会社です。創業してからそこまで企業が持つのは数%なので、安定した収益をあげ、安定して社員に給与を払える分安定しています。しかし中小というとまだまだ安定感が足りないように思うやもしれません。確かに不渡り一発出そうものなら吹き飛ぶでしょうし、大手が食指を伸ばそうものなら消滅まで秒読みでしょう。であるならば、矢張り創業ン十年は経ってる業界の大手こそ手堅き会社であり、安住の地として相応しいところということなのでしょう。更に受注側だと発注側の生産ペースに左右されるので発注側が望ましいことでしょう。それこそ、就活生の思い描く安定した安寧を教授できる安住の地であるわけであります。恐らくそんな御社に受かれば浮かれた気分で約束された将来に夢と希望を抱くことでしょう。そして、そうではなかった人民から羨望の眼差しを持って迎え入れられるのです。

 

 では、実際に安定した職場とはどのようなものなのか、考えてみましょう。

 

  安定した職場は安定しています。何もかもが安定しています。動きは乏しく、社会情勢のはるか後方を進むことてしよう。しかし、それこそが安定しているということなのです。社会情勢に流されず、自らの芯を貫き通す、これこそが安定した会社なのであります。カネがあり社会に追従できるだけまだ革新的と呼べるでしょう。それだけ安定している職場は安定しているのです。

 安定している会社は何もかもが安定しています。一人一人の社員の考え方もそうです。改革は大して望んでいません。世の中がどれだけ変わろうが、常に一世代以上前の手法を使いたがります。連絡は内線電話、会議は顔を合わせて、書類には判子を必ず捺します。判子は唯一の陰影を持ち、偽造されることのない確実な認証手段であると信じられています。ゆえに、職場には変わりとなる判子が常備されていたり、万が一のために前任者の印が遺されていたりするわけです。そうしないと不便ですからね。仕方のないことです。

 一世代以上前の手法を使うと似ていることで、安定した職場においては今までの手法を変えるような真似は滅多に行われません。電子化やIoTの波がどれ程大きく押し寄せようが、単純に今やってることを電子化する以上のことを嫌います。それは外部から見れば非常に非効率的に見えることでしょう。しかし、安定した職場においてはそれが最も妥当な選択肢なのです。なぜなら、今の手法を変えるということには多大なるコストが掛かるためです。例えそれが相殺できる代物であったとしても、不必要なコストを払うくらいなら安定にコストを払うのです。だからこそ、神エクセルで書類を作り、マクロで決裁印を捺すような真似をしたり、電子データを印刷してキングジムのファイルに綴じて郵送したりするわけです。どれだけそれが無意味なことであろうと、今ある慣習を変えるような真似は許されないのです。

 安定した職場は職場を安定させるための投資を惜しみません。制度、社員、意識、すべてが安定している組織を安定させるために存在しています。勿論、そのためには一定の強制力を以て我々労働者を安定した組織に相応しい社員に導いていく必要があります。それこそが研修制度*1であるわけです。そして、安定した組織に相応しくなった社員は、安定した組織を安定させるために働くのであります。例えそれが本人の意思に反するものであったとしても、組織を安定させるための行動を行わなければならないのです。安定した組織で働くためには、労働者の側からも安定に貢献するコストを支払わなければならないのです。

 

 本項の読者が一介の労働者であるのか、はたまた一介の学生であるのか、筆者には知りようもありません。しかし、何れにせよ、労働者階級であるかこれからなろうとあう読者諸兄に伝えておかねばならぬことがあるわけであります。

 

 

 貴方が企業に求めているものは、本当に安定した”職場”なのですか?

 

 

 私は安定しているのは給与だけで十二分に思えて仕方ありません。