旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

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2020北近畿合同巡検 その1

形あるものはやがてなくなる。

町の酒屋も、郵便局も、電気屋も。何もかも、いつかはその見知った姿を消すのである。

あるものは規模を大きくし、あるものは他店にその役割を譲り、またあるものはそのまま消える。

他の何でも代替しようもないものでさえ、消えるときは消えてしまうのである。

 

 

消えるんなら行くしかねぇ!!!!

 

こうして、加悦に行くことになったのである。

 

0. 2019/12/29

「おっちゃん、加悦行かへん?若さと行くことにしたんやけど」

「ほーん」

確かコミックマーケットの時だと思う。加悦に行こうとぶっちゃん氏に誘われたのである。

「ワイも行こうと思ってんねん」

残念だが自分も行くつもりだったのだ。

「へーいつよ?」

「次の三連休」

「俺らが行く日と同じじゃねぇか!!じゃあ話乗れよ!!!!」

「えぇ……」

 

こうして、なぜか3人で加悦に向かうことになったのである。

そしてこれは前日ぶっちゃん氏がHNDから乗る便に間に合わんからと自分の家に泊まりに来た時初めて知ったことであるが、なんと当日野田川からのなめ氏が乗ってくるらしい

4人だ。

おかしい。

元来一人で向かい適当に酒を飲み温泉に入って酒を飲み適当にコーディングして適当に酒を飲み寝て起きて加悦に行くくらいを想定していたのである。

どうしてこうなったんだろうなぁ。

どうにもこうにも腑に落ちないまま、結局3?4???人で加悦に向かうことになったのであった。

 

1. 東京->福知山

のぞみの無座は人権がない。三連休初日とあらば尚の事である。

理由は主に自由席が少ないことと時間帯が良すぎることだ。のぞみは自由席が3両しかない。しかしひかりなら自由席が5両もある。これなら流石に座れるだろうしヒリつくことも無いだろう。なので、できるだけ早い時間帯のひかりに乗りたかった。それこそヒリつきを回避する最良の方策であると考えられた。

首都圏から上記要件を満たす列車は極めて都合のいいことに1本あった。

ひかり493号広島行き。6:00に新横浜を出る最速のひかりである。

眠かったし、前日仕事だし、出来れば使いたくはなかったのだが、ヒリつくよりも遥かにマシだからという理由でひかり493で京都に向かったのである。

 

ひかり493は快適だった。

 

 

ひかり493 快適だった。

 

 

問題は着駅である。

着いてもどこも開いてないのである。

はしだて1号に乗るらしいのでそれまで1時間あまり無を過ごす羽目になっていたのである。

 

 

はしだて1号の自由席は若干ヒリつきつつも、なんとか人権を確保することが出来た。

多分このテーブルに屹立している檸檬堂のおかげのような気がする。

猫よけのペットボトルがあるならば、人よけの缶というものがあっても良いのだろう。そんな気もする。

 

なんてこともなく、ごくごく普通の旅が始まったのである。

 

2. 福知山->城崎温泉

ぶっちゃん氏は「どうせすぐでるし、きっぷの元も取れるし、渡ったほうが早いし遊覧船に乗ろう」と言ってきた。

特に反対する理由もない筆者は、特に理由もなく肯定した。

赤べこと化した若さ氏はあるかどうかわからない判断能力で頷いていた。

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Fig.1 生き地獄だ

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Fig.2 餌を確保する鳥

船上は地獄であった。

どちらかと言えば戦場だ。

誰かが投げたかっぱえびせんに釣られて鴎やら鳶やらがたかってくる。

それも一羽や二羽ではない。

完全に船は鳥類に包囲されたのである。

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Fig.3 地獄からの使者

1フレームにこれだけ鳶が収まるところから大体察して欲しい。

 

こうして、ブレブレの写真を400枚くらい生産しながら対岸にたどり着いたのである。

 

 

適当に合流し天橋立にたどり着いた一行。

ここでぶっちゃん氏に伊根方面行きのバスの時間をサクッと間違えられ、筆者はキレていた。 

タクシー使って一人ででも行くか?とまで考えたくらいであったが、次便でもギリギリ間に合うらしく、事なきを得たのである。

 

途中検索エンジンを祀ったものと考えられる御Baidu石を見かけた。

これは絶対ツイッター映えするだろうと満を持してネットの海に放流したのであるが、全然そんなこともなく若干凹んでいた。

 

 

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Fig.4 一般的な丹後海陸交通のイメージ

天橋立を適当に観光し、バスで伊根に向かう一行。

途中あった一軒家停留所付近に何軒も家が立ってることに野次を飛ばしつつ、本当に一軒しか無いなら〇〇邸前とか晒されるんやなどと他愛のない話で盛り上がっていた。

 

 

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Fig.5 傾いた舟屋

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Fig.6 模範的な蔵

適当に伊根湾をチャリで爆走した。

このとき1時間で伊根の端から端まで見るという計画自体無理があったということに気がついたが、これは主にレンタルチャリに変速機構がないことと、自転車の速度を見誤っていたことが敗因であった。

学生時代の最速レコードを参考に観光地で借りる自転車の速さを求めるのは良くない。おぼえた。

あと若ささんは普段から運動して欲しい。

 

若ささんを途中で諦め、手早くチャリ置き場に借り物の自転車を返した筆者。

同行者を諦めたのには理由があった。

酒を買うためだ。

伊根満開という酒を買う、それがこの伊根でのもう一つの目的だった。

伊根満開というのは日本酒であり、なんでもいろいろな大使だか国際的に偉い人に振る舞われた実績のあるらしい酒なのだが、そんな御託はどうでもいいくらいにうまいのである。

赤米を使った日本酒であり、実際日本酒なのに滅茶苦茶赤い。これでいて味がアレならただのネタ酒なのだが、酸味と若干の渋み、そして――雑味としか言いようのないが――複雑な味わいが口いっぱいに広がるのである。ネタ酒枠に置いておくわけにはいかないくらいに普通に美味しいのである。そして他にこんな尖った日本酒を出している蔵もない。

この酒を最初に飲んだのは忘れもしない叡山電車鞍馬駅でのことである。なぜかあの時は京都におり、なぜか鞍馬に行き、その鞍馬の駅の中で日本酒のイベントをやっているとのことで、フラフラと停泊中の列車の車内に入り、いっぱい飲んだのである。

その一杯がこの他でもない伊根満開であった。

忘れられない色と味だった。

忘れられないからこそ東京の酒屋という酒屋を見て回ったが、ついに店頭で見かけることは叶わなかったのである。しかしここは伊根。行けば買える距離だった。

買うしかなかった。

なので買ったのである。

本当は旅行中飲む用と自宅で飲む用の2本が欲しかったところだし、どちらかと言えば自宅用はクール便で送りたかったのだが、時間が無かったので旅行用の一本だけ買って帰った。

 

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Fig.7

この旅行用の一本は早速城崎で飲むのだがそれは次の話にすることにしよう。