旭駅本屋

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トップバリューウイスキーを実際に飲んでみた感想

 今回もタイトルオチです。

 

 さて、読者諸兄に置かれましては、流通大手のイオンとそのイオングループが擁するプライベートブランドであるトップバリューは実際手に取ることは無くても目にしたことや耳にしたことはあるかと思います。価格は非常に廉価であり、当然品質も価格並のその商品はイオングループの卓越した店舗網も相まって着実に一定数の貧民のお財布を掴んで離さないと専らの噂であります。今回はそんなトップバリューにラインナップされているウイスキーを実飲してしまった感想を、前回のウイスキーウォッカ割りを引用しながら語っていきたいと思います。

 

 そもそも、なんでトップバリュウイスキーなんてものを口にする羽目になったのか。普通こんな見え透いた地雷をわざわざ踏み抜きに行こうなんて酔狂な輩はそうそう居ないでしょう。居たとしても発売しているのを目にした瞬間レジに駆け込みそのまま自宅で飲み感想をツイに投げているはずで、販売からだいぶ立つ今日日飲んでみるような輩はそうそう居ないわけです。とくに専らマズいと噂になっているものを598円払ってまで買うかって話ですよ。当然私は買わない。では何故買わないと言っているような人が飲めるのか。それは……

 

 渡 さ れ た か ら で す

 

 「俺も飲むから!」と言われ体よく720mlのゴミを渡されてしまったわけです。こうなったらもう飲むしか無い。というわけで飲みました。

 まずグラスに注ぐ。ほんのりとウイスキーっぽい香りが漂ってきます。すごいウイスキーっぽい香りですがなんかチープです。とりわけ特徴もなく、強いて上げるとすればなんか薄いな?ってくらいでそれ以上でもそれ以下でもない感じです。

 続いて実際に口に含んでみます。

 これは感動的でした。

 

 ウイスキーっぽい香りが一瞬にしてどこかへ消え去り、何かよくわからない甘辛い溶液がただただ口の中に残留する結果になったのです。後味がビターだのスイートだのピーティーだのと、余韻だのなんだのを長ったらしい横文字で並べ立てることを珍重するウイスキー界において、斬新かつ革命的とも言える余韻0を達成しております。これは素晴らしいことです。このウイスキーを持ってすれば、あのクソ鬱陶しい横文字大好きなウイスキー評論家の舌を唸らせ、彼らに見事白紙の束を出力させることが出来るでしょう。あの鬱陶しい横文字の羅列を見ることが無くなると考えると胸がすくような思いです。

 ところで、読者諸兄の皆々様、香りが一瞬で消えてスッと喉へ落ちるということであるものを思い出しませんか?思い出しませんかと言われても知らなければ思い出せないわけで何ともいえないのですが、森見登美彦著の小説に度々登場する"偽電気ブラン"を彷彿とさせたのは私だけでしょうか。「そう言えば電気ブラン作ってるところも合同酒精じゃないですか?」と言われふとググってみると確かに電気ブランの製造メーカーは合同酒精。ちなみにトップバリュウイスキーを作っているのも合同酒精であり、これはもう実際本物の偽電気ブランと言っても差し支えないではないのではないでしょうか。

「いや、違うと思う」

 

 しかし絶望的に不味い。

 ここでふと、前回の記事で話題に出したクソ不味かった富士山麓のストリチナヤ割りを作って比べてみてはどうだろうかと欲が湧いて出てきたので実際その場で作って飲んでみました。

 まずグラスに富士山麓を注ぎ、その後ストリチナヤで割り、上がってくる香りを嗅いでみました。うん、これは良いウイスキーだ。間違いない。幾ら割っているとは言えそもそもの香りの質が違う。

 

 次に口の中に放り込む。

 美味い。圧倒的な重奏感。これぞウイスキー。好事家が次々横文字を並べたくなるのも頷ける。口に含んだ瞬間から幾つも表情を変え最終的にシュッと抜けていく様は感動すら覚える。

 ……というのを、前回は散々こき下ろし罵詈雑言を浴びせてきたわけであります。トップバリュウイスキーと富士山麓のストリチナヤ割りの味はそこから相対的に判断して頂けると幸いであります。いや、流石にウイスキーウォッカ割りより不味いとは思わんかったよ俺は。もう少しマシだと思ってたよ。うん。

 

 「ところで市川さん、そのウイスキーの度数何度ですか?」

 これは37度だね。

 「37度ですと……酒税が1kl辺り37万円なので1l辺り370円。なので720mlで266.4円ですね。」

 つまるところどういう。

 「598円を1.08で除すと約554円、ここから酒税の266.4円を引くと287.6円になるんですよ。これが税の掛かってない原価ですね!」

 約半分が税という客観的事実に俺はまず驚きを隠せないのだが、288円の酒というのは実質利益に運搬費に倉庫代を引っこ抜くと原材料費はとんでもない価格になるのでは。

 

 そらそういう味に仕上がるわ。

 

 と、驚きの原価に触れたところでこの話はここまでにしましょう。

 最後に、トップバリュウイスキーの贈呈及び括弧書きでの友情出演を果たしたりょう氏に惜しげもない感謝と怨嗟を籠めて、この記事を終えたいと思います。

 

 

 しかし残りの710mlの廃液どうしよう。