誰しも理想の人生というのはあると思う。これはかつては家を持ち妻子を持ち妻を専業主婦にして車を持つというものだったのであろうが、そういうことが難しくなった現代においてそのような理想の枠組みは無いと言って差し支えないだろう。
では何が理想の人生たりうるのか。
そこで、ここでは筆者の理想の人生について述べていきたい。
理想の人生は生まれの正解にある。
人生、矢張り可愛い世話焼きの幼馴染が居るかどうかですべてが決まってくる。間違いない。これは筆者がゲーム好きだからとかそういう理由ではない。可愛い世話焼きの幼馴染がいれば人生の99割は乗り切れる。そういう確信を持って発信している本質情報なのだ。
ちなみに筆者には可愛いは愚か幼馴染すら居ない。転勤族だから仕方ないね。
人生、矢張り可愛い世話焼きの妹が居るかどうかで全てが決まってくる。これは本質情報である。矢張り可愛い妹が「お兄ちゃん、制服似合ってるかな」と目の前でひらりと一回転しようものなら生まれの正解であることを自覚しこの世界にはびこるストレッサーの99割は尊さのあまり消滅することだろう。
ちなみに筆者は男所帯なので妹は居ない。かなしい。居たとしてもという話はよく聞くので諦めはつく。
というところから導かれるシナリオはこうであろう。
朝だ。
何故朝なのかわかるというと、枕元の目覚まし時計がなっているからだ。
止めるのも億劫だが止めないと寝られないので止めるしか無い。
ゆったりと手を伸ばしていると、急に布団が引き剥がされた、
「こら!朝だぞ!遅刻するぞ!起きろ!」
幼馴染だった。
「朝ごはん用意してるから早く着替えて降りてきてね」
そう言って戻っていった。
両親が海外赴任でしばらく留守にしている間。俺一人では不安だからと幼馴染に世話を頼んだのだ。残当。二度寝する人間に人権はない。
しかし、朝ごはんを作る合間に他人を叩き起こしにくる暇はあるのだろうか。少しばかり疑問を持ちつつも制服に着替えて下に折りる。
幼馴染は朝ごはんを配膳しているところだった。
何もかもが完成し、その課程はカプセル化されたかの如く見えないが、自分が寝ている合間に作ってくれたのだろう。
一緒に朝ごはんを食べる。
美味しいねとか気の利いた一言は数ヶ月前はあった気がするが、日々の忙しさの中にかき消されてしまった。両者無言で食べる。実際美味しいので相手に伝わらない以上の問題はあるまい。
食べ終わると直ぐに家を出て学校へと向かう。
学校、何もかもが懐かしい。
「バカなこと言ってると始業式に遅れるわよ」
ツッコミをいれられ渋々重たい足取りで玄関を出ると清々しい春の陽射しが――