今も昔の話。
私はどこにでもいる普通の公務員。
それは、いつものように真理省に出勤していた時の出来事です。
毎日出勤途中の売店で昼食を買ってから向かうことに決めていた私は、行きつけの売店にパンでも買っていこうと寄っていきました。
するとどうでしょう、店内ではレジでカンカンに怒り狂っているおじさんが店員さんを怒鳴るわだる絡みするわのひどい光景が広がっていました。
「早くお会計を済ませて出勤したいのになぁ……」
そう思う私。
「でも、あの顔どこかで見たことがあるような……」
店員さんにだる絡みをしているオジサンに、私は見覚えがあったのです。
「あっ、そういえば!」
そう、そこに居たのは他でもないエマニュエル・ゴールドスタインでした。
ゴールドスタインはテレスクリーンによく出演する超有名人です。
歯に衣着せぬキャラがウケて一躍大ヒットしたものの、その傍若無人な振る舞いにはガラス越しでも嫌になるくらいでした。
その本家本元のゴールドスタインの傍若無人な振る舞い、部下による恫喝、脅迫、そして羊が目にも留まらぬスピードで繰り広げられていました。
しかし、ここでスカッとする出来事が起こるのです。
奥の戸から、なんとあのビッグ・ブラザーがいらしたのです!
こちらを見るなり慈愛に満ちた瞳でこちらに微笑んでくるビッグ・ブラザー!
これにはあのゴールドスタインも敵いません。
すごすごと店を後にし、そのまま地下に潜っていきました。
戦争は平和である
自由は屈従である
無知は力である