旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

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2・3日目

青春18きっぷという企画乗車券がある。

くろがねのみち・ひろしと化して長い身故、もはやその単語一つ一つの意味に問いを投げることもなく、ただ長い固有名詞として認識しているが、矢張り青春18きっぷと銘打っているだけあって中高大あたりの年齢向けの切符なのである。

元々は通学輸送の減る時期に乗車率を底上げするというのが目的の一つだったと聞くこともあり、益々年齢層としてはそこらへんを狙っていたのだと伺える。

然し年齢制限はない。

無いが、矢張りトシを食うとキツいと思うことがあるのだ。

一番きついことが、列車に乗ることでも遠くに行くことでもなく、期間内に5日分を使い切ることであると、18の頃の自分は気がついていただろうか。

 

朝の9時に国分寺駅に来ていた。
来た理由は同行の志と落ち合うためである。

同志は「久々に18券で旅をしたい」と仰っていた。
18券もあるので一緒に行けばWin-Winやぞと言いくるめ、一緒に何処かへ行くことにしたのである。そして、昨晩「結局明日は行くのか?」「行くとしてどこへ?」という不毛な議論を行い、模型談義をしていたマンのキハE200という発言に着想を得て、「キハE200を見る」という謎の機運を高め小海線に乗りに行くことにしたのであった。

国分寺で落ち合った理由は、西武線沿線民の氏と、いい感じに落ち合って中央方面に出られるというだけであった。

 

というわけで、中央本線を西へ。高尾で松本行きに乗り換えどんどんと進んでいった。

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そして気がついたのである。

接続するキハE200が無いことに。

 

 

キハE200の運用は極めて限られている。特に小淵沢に顔を出すのは一往復しかいない。

そしてその一往復の小淵沢発であるが、15時丁度なのである。この電のままであれば1235には小淵沢に着く。無だ。

そして時刻表を繰る。ようようやっとここに来て気がついたが、15時の小海線に連絡する普通列車の接続は恐ろしいくらい悪い。ここで二人ボックスシートで頭を抱えていた。取りうる選択肢は2つ。一つは甲府から身延線に乗ること。もう一つは、終着の松本まで向かうことである。天候は晴れ。松本で2時間位ダラダラと観光し松本城を見るのも良いのではないかと考えられた。しかし考えても見てほしい。松本である。週末パスで行けるのだ。そして、週末パスであれば特急も使える。中央本線は特急街道である。特急に乗るのがアドなのだ。つまるところ、週末パスであずさに乗り向かうのが多分一番良い経路なのだ。そして週末パスは別に今使い行く必要はない。

結局、強い主張により身延線富士宮に向かうことにした。

 

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身延線に乗るには当然甲府で降りる必要がある。

甲府で降り、適当に駅前をうろついた。

駅前にはなにかすごい浮ついた建物がある。

 

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非常に浮いており、極めて目立つので気になったので入った。

疑似洋風建築のそれは非常に興味深いものであったが、時間がなかったので秒速で写真を撮って出た。
他にも色々山梨県内に保存されているという知見を得たので、他のところも見に行きたいところである。というか何なら松本の開智学校も見たことがない、見なければならないところが色々ある。中央本線沿線ですらこの有様だ。

 

甲府で弁当を買い込み、313に乗り貪り食った。

筆者は勿論とりめしをセレクトした。同志は山賊焼きだった。

メシを食うなり同志は寝た。

筆者は🐴をやっていたが、途中で眠くなったので寝た。この路線も無なのだ。たまにダムが見えるが概ね川と擁壁が見える。適度な無を摂取し、富士山を拝み、富士宮で降りた。

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富士宮では適当に観光などした。上は定番の構図である。

富士浅間大社を拝み、静岡県富士山世界遺産センターなる施設を訪れた。

静岡県富士山世界遺産センターは300円入場料を支払うことで富士山信仰の諸々を知ることができる施設である。300円にしては出来が良いので良い。

 

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ちなみにこういうげきぶい構図も撮れる。良い。

結局2時間ほど観光を行い、沼津へ向かった。

沼津へ向かう理由は至って明快である。このまま東へ向かうと県境を超えた瞬間に飯屋が閉業しているためである。なので、県境を超える前にメシを済ませる必要がある。県境を超える前の都市というと富士、沼津、三島、熱海というところだろう。この中でまだマシそうという理由から沼津へ行くことにしたのである。

 

沼津の駅前は地方都市の駅前みたいな雰囲気そのものであった。

でかい商業ビルには居酒屋がぼちぼちと入り、でかい建物はだいたいパチンコ屋。パチもんの家系が若者の胃袋を掴み、個人営業の居酒屋を常連が程々に埋める。そんなどこでも見られる光景が広がっていた。そしてここでキツいところは、駅前でサイゼリヤを見つけてしまっていたことである。必然的に飲食店を選ぶ上でベンチマークとなるのはサイゼリヤである。サイゼリヤは安い。そして程々にうまい。確かに近所で食える。これは旅行先に於いてはディスアドだろう。然しそれでも尚、うまいかまずいか微妙なお店に千円溶かすよりはまだと思ってしまう部分がある。

我々はサイゼリヤに入った。

 

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沼津からはもう帰るだけである。

丁度来た熱海行きに乗り、熱海で小金井行きに、戸塚で小金井行きに乗り、グリーン車で悠々帰宅した。

その途中のことである。中央本線が信号故障で甲府から東京まで2時間以上止まっていることを知ったのは。

新宿到着時、何分遅い時間になってしまったと同志と語っていた。中央線は未だに止まっており、1630発のかいじの時刻が表示されたままになっていた。旅の途中の微妙な選択が、それが図らずも最良の選択になってしまうなんてこともあることはあるのかもしれない。そう思える旅であった。