旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

RSS

 

4連休(3)

大抵の人は、旅行の大分前から宿や切符を手配するのだと思う。

そちらのほうが費用的にも良いのは言うまでもないし、そうでなくとも大抵の人は突然「ここに行きたいから行くか」とはならないのかもしれない。

とはいえオタクはそうとも言ってられないのだ。オタクはだいたい行きたいところがポンポン湧き出てくる割には行けるタイミングが上手いこと錬成出来ないので、そこらへんをうまくどうにかしてどうにかする必要が出てくる。然しそうなると困るのは諸々の値段である。航空運賃は大概高いし、宿も尚の事である。

 

7/23

筆者は頭を抱えていた。

行く先は八雲である。一泊して八雲に向かえばよいのである。錨地の候補は仙台盛岡秋田、だいたいこのへんだろう。そして問題は、どこの宿も割と高いことであった。確かに金額だけ見れば一泊6千円台は法外に高いというほどではない。然しである、ここで新青森から新函館北斗まで新幹線を使わざるを得ない場合はどうだろうか。手元にあるのは青春18きっぷ。当然その運賃特急料金がかかってくるわけだ。お値段7190円。足すとだいたい1万と3~4千。ちなみに太平洋フェリーのきたかみC寝台が正規で10100円である。この時点でどちらを取るべきかは大体検討がつくものだろう。そして更に検討材料に加えるべきなのは、八戸からのシルバーフェリーだろう。とはいえこちらは盛岡八戸間の運賃特急料金が必須になるが、それでも合わせて大体9千円。そう考えると最早ホテルに泊まるという選択肢は無くなってくる気がしてくる。とはいえ寝たい。連休はしっかり寝たい。シルバーフェリーは寝れたものではない。太平洋フェリーは寝れるが朝の時間が少々使いづらいのが難しい。

というわけで、結論を出しかねていたわけである。シルバーフェリーに傾きつつも、当日は予約が効かないので窓口に電話して確認撮っておかんとなみたいなのもあった。

 

f:id:Ithikawa:20210725233448j:plain

 分断後初の東北本線であった。ここにE531が入ることは知識として知っていても実感はあまりなかった。乗ってしまえば対して変わらないのも尚の事実感のなさを思わせる。然し新白河で降ろされて駅前にクソ長い研修センター行きのバスが停まっている辺りでやっと、自分が初めて黒磯と郡山の間の駅で初めて外に出たんだということを実感したのである。

 

 ときに福島で中合の廃墟を拝みつつ、特急ばりの快速で爆走する鈍行に揺られしばらくすると仙台である。昼につくので実際のところそんなに遠いわけではない。新幹線だと一時間半である。感覚的には名古屋に近い。

ここでやっとまとまった時間が取れたので、幾つか尋ねることをメモしてシルバーフェリー八戸港に電話で確認をとった。

A. 「はい、こちらはシルバーフェリーです」
Q.「ちょっとお尋ねしたいんですが、今日の22時の便って二等って空いてますか?」
A. 「空いてますね」
Q. 「埋まらなそうですか?」
A. 「これなら埋まらないと思いますよ」
Q. 「連絡バスだと2105着なんですけど、これって22時の便に間に合いますか?」
A. 「間に合いますよ」
Q. 「ありがとうございます。失礼します」

 

大丈夫らしかった。
ここで、本日の宿が決まったわけである。

宿が決まればあとは楽だ。
仙台観光をして、八戸にいい時間につけるように乗り継いでゆけばよいだけである。

 

f:id:Ithikawa:20210727220904j:plain

仙台では当然のように藤崎に向かった。

実のところ藤崎は一度訪れているが時間がろくに無く実質落単していたのだ。なので今回再履したわけである。

屋上が工事中だったことを除けばまずまずの結果になったとは思う。わりと良かった。

 

f:id:Ithikawa:20210727221052j:plain

仙台からは小牛田、一ノ関と乗り継いで盛岡へ向かう。盛岡では1時間程度時間があった。盛岡は何も無いイメージがあった。これはかつて筆者が盛岡に行ったとき、ド深夜で何も店もろくにやっておらず、暗い街でただひたすら無を摂取したからにほかならない。18券旅行は移動以外のすべてが無になるし、錨地には偏見が生まれるし、矢張り悪い文明である。

さてこの盛岡であるが、GoogleMapを見る限り百貨店があるらしい。このGoogleMapを外出先で開けるというのはここ5年10年での大きな進歩と言えるであろう。昔は下調べをしなければ駅の外なんぞ道が怖くて歩けたものではなかったからだ。それがこうして車内であれこれ調べては、ちょっとした隙間で繁華街を目指して歩けるわけである。大変楽な世の中になったものだ。

さて百貨店があるなら行くしか無いだろう。名は川徳というらしい。盛岡市の都市規模で、地方の地場系百貨店であることもあまり期待はしないほうが良いのかもしれない。

そう思いながら、駅から15分ほど歩いた。

駅前にはアニメイトがあり、オタク文明をあまり不自由せず摂取できることが伺えるものの、時折区画がまるまる駐車場になっていたり、廃墟っぽいホテルがあったりして、中心部とはいえ矢張りこうなるものかと落胆しつつ歩いていたのである。

 

 

 

 

 

f:id:Ithikawa:20210727221642j:plain

割と驚いたのは言うまでもない。

そこには確かに存在感のあるでかいビルと、そして存在感のある街灯、加えてここだけ歩車分離式の交差点と、とかく見てくれが半端なかったのである。

 

中に入ってみなければわからない。そう思い中に入り更に驚いた。

 

特 に 減 床 し て い な い の で あ る 。

 

減床していないだけで驚くというのが驚きな読者も中にはいるかもわからないが、だいたい地方都市の地方百貨店は減床しているものなのだ。そうでなくても苦肉の策みたいなフロアの埋め方をするものである。

そういったものがまるでなかった。

確かに屋上と同居する最上階こそ医者などのよくわからんテナントが入っているという側面はありつつも、百貨店にありがちな元々の地主の店が入っているだけという可能性もあり一概になんとも言えないものはある。割と空きがちなレストランフロアも5つほど店があり、繁盛っぷりを伺わせた。これだけでも最末期川口そごうの数倍マシである。レストランフロアと催事場が一緒になる造りは個人的に馴染みはないが、8階建てでもあるしあまり違和感はない。地下の食品売り場はテナントで埋まっており、空きスペースなどは見当たらなかった。これも割と凄いことである。地下食品売り場も割と隙間が出がちなのだ。最末期川口そごうは割と隙間が見えたものである。

 

率直に凄いと思ったのである。

地方の地場系百貨店が軒並み廃れていくさまをありありと見せつけられている身としては、末永くこのまま繁栄して居てほしいと思わざるを得ないものであった。

エスカレータから覗くロフトがどことなく横浜そごうを彷彿とさせ、妙な親近感があったのもあるかもしれない。

一気に街への評価を上げつつ、役所を拝みつつ駅に戻ったのである。

 

 

f:id:Ithikawa:20210727223045j:plain

H5で八戸に向かった。

あとはまあ道なりである。道なりに八戸港へと向かい、無予約でシルバーフェリーに乗った。

港の売店でタオルを買い、風呂に入り体を清めた。広い風呂は快適で、矢張りフェリーに乗ってよかったと思ったものである。ちなみに脱衣所は狭いので時間帯を選ばないと埋まる。気をつけよう。