「明日どうする?」
「明日起きたときに決めればええやん?」
朝の9時。朝と言うにはやや遅い時間帯かもしれない。微妙な時間帯であり、天気は晴れであり、微妙だなぁみたいな印象を思いながらも行くべき場所を決めた。
名電で名古屋から北に一駅。栄生駅に来ていた。
理由は勿論博物館に行くためである。
名古屋というと観光地が無いだの歴史がないだの見どころがないだの飯が微妙だのと散々な言われようではあるが実際のところ企業博物館が結構充実しているのでそれを見るのが善いとされている。
おや? pic.twitter.com/8Ha2bEwN16
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年8月8日
来たのはトヨタ産業技術記念館である。入場料500円。ちなみに展示の内容と質を鑑みればべらぼうに安い。というか結構案内の人多いのでどう頑張っても赤だと思う。ドバドバ金を注ぎ込んで自社の源流やその歴史を保存展示していくのは凄いと思う。素行が多少アレでも、トヨタグループはバカにはできんなと思うばかりである。
工場の建屋を改築して、工場を模した造りの展示をしたりしている。
模したというにはかなりレベルが高い。駆動軸が屋根を這いそこからベルトで何台もの機械をそれぞれ動かすとかいう力の入れようである。実際その場に行くと係の人が4台くらいいっぺんにG型自動織機を動かしてくれたりする。ライフサイクルが長いこともあるんだろうけれども、大正生まれの機械が何台も稼働状態で展示されてるのはヤバいと思う。
最初の方で「織機の性能を確かめるために、自社で糸をし始める」という説明を読み「ああトヨタしてんなぁ」という謎な感想を抱いたのだが、こと糸の生産についても機械を生産ラインの一つをそのまま持ってきましたよと言わんばかりに並べ展示している。おかしいと思う。
先程の機械でいい感じにほぐしてロールにされた綿が入り、今度は糸になるという。まじで生産ラインだ。
他にも何十台単位で機械が展示されているが、詳しく見ると本当に時間が溶けてなくなる(比喩ではない)ので結構飛ばして見ていた。飛ばしで見ても数時間掛かるので本当にヤバいところだと思う。何よりヤバいのは大体動いてるところだと思う。
工場に来たみたいだぜ!
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年8月8日
テンション上がるなぁ〜 pic.twitter.com/FK05lK4r3A
ガイドマップに乗っているのだが、金属加工の実演をやっている。
切削、鋳造、鍛造の実演をやっていると書いてあり、ガイドマップを観たときは「ほーん」と流し読みしていたのだが、実際に係の人が電気炉を開けた辺りでヤバさに気がついた。
これ実演でやるネタじゃない。
「壁のないあたりに行くと、電気炉から出てくる熱を感じることができると思いますよ」ではない。そうカジュアルに電気炉からるつぼを取り出して実演をするものではないと思う。メットして手袋嵌めて完全防護でやる実演はどう考えても何かがおかしい。よい、悪いとかそういう話の前に予算や労力の規模があまりにも固定観念からかけ離れている。
実演中ただひたすら「すげ…………」としか言いようがない何かを観て、いやあ凄いなァと前のほうで展示を観ていたら「鍛造観ていきますか?これ終わったら準備しますよ」と声をかけられた。
鍛造は適宜やってくれるの……?
適宜やってくれるネタそれで本当に良いの……?
鍛造は高周波加熱装置で熱した鉄の塊をプレス機で打ち付けて行う。
鋳造に比べたらたしかに高頻度でできるかもしれない。かもしれないが、それはあくまでも鋳造との比較であってどう考えても矢張り何かがおかしい。
一番おかしいのはなんかこう軽くスペースこしらえてやってますよ~!みたいなカジュアルな雰囲気出しつつやってるところだとは思う。
そろそろ行かないとなんも見れんぞと急かされ自動車館なる施設を見ていた。自動車の方はトヨタ博物館にも展示はあるし、何なら向こうのほうが台数は多いハズなので正直あまり興味はなかったのだが、どちらかといえば生産に力を入れて展示しており「ちゃんと見とけばよかった」と後悔したのである。
移築してきた当時の建物という時点で大分やばくてヤバいのだが、屋根も移築前のものと落成時のもの双方葺いて展示してある辺りにヤバさをしみじみ浴びせられていた。
しっかりとした博物館のそれを潤沢な予算を用いて実現している姿はもはや狂気染みたものがある。そうは思わないだろうか。好きな狂気ではあるのだが。
AA型の生産ラインの展示など、大変興味深い展示がわんさかあったのだが時間がなかったので撤退した。無理。駅から近いし、又今度名古屋を通ったときに見に来ようと思う。18券に飽きたくらいにこれを見て回復するくらいが多分一番良いと思う。
来ています pic.twitter.com/tkuGpebGNa
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年8月8日
せっかくここまで来たのだからという貧乏性で、名電で数駅、有松に来ていた。
有松には、重要伝統的建造物群保存地区があるのだ。あの歴史が無いだの何だの言われる名古屋の端の方に歴史的な何かがごっつ残っているわけだ。行くしか無い。
駅前のクソデカイオンを眺め1分も歩かないくらいの場所がこれだ。何かがおかしいと思う。
電線が地中化されているからか、町並みも相応にそれっぽく見えてくる。昭和期の建物こそ多いが、それがより一層かつて栄えた地方都市感を増長させており、それはそれで良さがある。
大体駅を挟んで左右に500mくらいいい感じの町並みが続く。
結構暑く、バテながら進んでいた。
端の方にある岡家なる住宅が公開をしているとのことなので、せっかくなので見ていった。
めちゃクソに太い木材や吹き抜けに†富†を感じていた。
案内の方が親切で、色々岡家住宅のことや有松のことを説明してくださった。なんでも屋根にガス灯がある家もあるらしい。気がつかんかった。バテて進むとろくなことはない。端まで行ってきたと言ったこともあり、案内の方も「オイ」みたいな顔になっていた。ワイトもそう思います。
岡家住宅は屋根の鬼瓦のところに水と書いてあったり、屋根にある漆喰が波打っていて水を表現していたりと、大火が来ないように水にあやかった意匠が凝らされていると聞いた。家を漆喰で塗り固めたり、なまこ壁にしたりするのも防火の一環だという。大火で蔵が焼け残り、そこから蔵造りの町並みができた川越と近い印象を受けた。
このあとは刈谷に出て、JRで帰宅した。
途中で面倒くさかったこと、あとの予定があることを考慮し、浜松熱海で新幹線の券を買うも、面倒くさくなり、東京まで乗り越して精算した。
等級をアップデートし、社会的正しさを手に入れた pic.twitter.com/rj8KanpOJl
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年8月8日
こんな切符あるんだ…… pic.twitter.com/czSs1d8EUC
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年8月8日
そこで賜ったのがこの乗車券である。
まず浜松熱海は100kmを超えており、精算は熱海で打ち切って再度乗車券購入の形になる。その際に熱海東京が100kmを超えており、そうなると東京山手線内まで有効の乗車券が出せてしまうのでこの形で精算券として出したのであろう。
からくりが解ったので今度は東北側でも出してみたい。そうなると、郡山宇都宮で一旦購入の上東京精算ということになろうか。やや手間だがやってみたいところである。
ちなみに18券を刈谷から行使したが、精算もあり完全に赤になってしまった。まあ面白い切符が出せたので結果オーライとしたい。