ここ暫く、温泉に行くには行ったものの温泉に泊まっていない。
とはいえ温泉に泊まるというのは中々難易度が高いのだ。なにせ一人では予約ができない宿も多いからだ。なので諦めかけていたのである。
温泉を手配した
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年11月16日
週末は温泉へ
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年11月16日
飛び石連休だというのに何故か宿が空いていたので飛びついてしまった。一泊二食一人一万。良い方だろう。そういうわけで、温泉に行くことになった。
2021/11/20
世間様は飛び石連休だということで、大宮駅の新幹線連絡改札は人で賑わっていた。大体がキャリーケースやらクソデカリュックやらの重装備である。アフターコロナの戦勝凱旋よろしくこれから各地の観光地へと向かうのであろう。北陸なんかは酷そうである。なもんでかがやきとはくたかには乗りたくなかった。
まず行く先は上田である。方面は同じだが何もはくたかに無理して乗る理由は1mmも無い。なのであさまに乗った。
車内は程々に混んでいた。窓際に空席は見当たらなかった。仕方ないと開いてる2列席の通路側に座った。
あさまだからかE7なのか、東の上越・長野新幹線用のチャイムが流れた。かつて上越新幹線にわりかし乗っていた宅としてはこのチャイムを聴くと高まるものがある。最近は北陸ロマンなる変わり種も出てくるので個人的には聴く機会が減ってきてしまっているのがややアレだ。
ぼんやりと西naviとトランヴェールを読む。厚みと内容に両者の思想の違いみたいなものが伝わってくる。いつも文化は東から輝くと言わんばかりのポエムをひとしきり浴びて、やることが無くなった。
上田にはそれこそ10年ぶりくらいに来たと思う。12年の1月に来ているので厳密には9年ぶりらしい。ほぼ10年なのでまあ誤差みたいなもんだろう。あの時は上田電鉄の乗りつぶしのためにここに来て別所に単純往復していた。別所で温泉に入ればよかったもんだが何分乗る以外はあまり興味もなく、日帰り厳守で自由に出来る時間も少なく、適当に駅前を徘徊して帰った記憶がある。接続が極めて貧なので、せかせかと上田城址にある廃線跡を眺めて、日の暮れる上田を後にしたのだった。
あれから10年。歳を食い、適当に時間が使えるようになり、適当に温泉に入り徘徊するだけの人になってしまった。あの頃こんな理由で上田に来るとはあまり思ってもなかったろう。
上田からは信越線で戸倉へ向かう。2連らしい。2連ともなると新車が来そうなものだ。
上屋から吊るされる看板やいかにも古めかしい接近表示機が、分離されてもなお本線らしさを醸し出していた。国鉄幹線らしい幹線の姿というもの、今日日JRでもあまり見ない気はする。
暫くすると、案の定というかSR1が来た。嬉しいやら寂しいやらである。
というわけで戸倉に来た。
今日泊まる土地ではないのだが、温泉に入りたいので来たのである。温泉、地図で見た時は近そうだなと思っていたのだが実際はどうも温泉街までは30分くらい歩くらしい。前提としてクソデカ千曲川を超えなければならないのが地味に大きい気がする。
大体3時間後くらいの電車に乗って戸倉を出ればいい具合にチェックインに間に合いそうなので、それまで適当に徘徊して適当に飯を食おうという腹である。実を言うと戸倉上山田温泉に行こうというのは正直直前に決めたことであった。大体はここ行こうストックがあったりするもんだが、実際ここはそういうところに入っていなかったのである。事前のリサーチ不足である。
ではなんで行こうというのかというと、かの有名な ゆるーと で温泉地を軽く眺めつつググっていてオッとなったからだ。
> 三味線・踊り・長唄と芸を磨く芸者衆が集まっているのも戸倉上山田温泉の光景。ネオン街を散策するのも風情がある。
昭和後期の†浄化†の波に取り残された温泉地とあらばこれはもう行くしかねぇ。決断は早かった。結果、この旅に間に合ったという具合である。
早くも駅前にある門構えと連なる旅館の名前の看板に栄えた往時の名残が感じ取れた。ここから普通の街を歩き、旧戸倉町役場を拝み、クソデカ千曲川を渡った。
クソデカ千曲川を渡ればすぐ温泉街というわけではない。暫く歩き、やっとこさ温泉街にたどり着いた。
本当にあるんだ。
そういう感想に至ってしまった。
当時、というものを知らない人間にとっては、それはもう、伝説で語り継がれる空中を飛ぶ城の如き存在であるわけで、そんなものが今日日まで残り続けていることに驚くばかりだった。
本当に昔は色々あったと伺う。綱島だってそうだったらしい。今はどこにあるのか知らん*1。
しかしこんなものが残っていたところで今日日そこまで流行らないのかもわからない。街全体はどちらかと言えば寂れていた。もぬけの殻で何屋なのかすらわからない店が幾つかあったり、西友に移転しましたと壁に直接書いているビルがあったり、バカみたいにデカいホテルらしき廃墟*2が解体されていたりした。上の写真自体も特に人を入れずに取ることが出来た。人によっては怒られそうなカットであるにも関わらずだ。そんなものである。
人口並みに、主要な道路の歩道ではほどほどに人を見かけた。賑わい自体は無いこともないのだろう。キャパを埋めるほどあるかどうはを除けばであるが。
ある意味では鬼怒川を彷彿とさせる光景であった。
温泉街を徘徊していて、源泉を持ってる会社がやってる公衆浴場という売り文句の看板に釣られてかめ乃湯というところに来ていた。
温泉街の公衆浴場は大体足元を見てくるがここは全然そんなことはなかった。350円である。安い。番頭のおばちゃんに券を渡して風呂に入る。脱衣所がクソ広くて地味に感動していた。価格の割には非常に良い作りだ。手早く脱いで浴場へ向かう。石鹸などの設備の無い普通の公衆浴場である。建物自体は塗り替えられているのかちょっと新し目かなと思ったが、壁や浴槽はやや年季が入ってるようだ。シャワーで適当にかけ湯をし、湯船に浸かった。単純硫黄泉なこともあり、浸かると硫黄の香りいい感じに漂ってくる。温泉は矢張り良いものだ。
5分ほど浸かり、露天風呂に向かった。露天なだけあり、日差しがガンガンに照りつけてくる。結構眩しかったのもあり、速やかに退散した。
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年11月20日
湯上がりでは牛乳を飲むものと相場が決まっている。
明治の自販機が置いてあったのでてっきり明治かと思ったら地場のと思しき八ヶ岳コーヒーなるものがあったので買った。
うまかった。
いい感じに風呂に入り、最早風呂に泊まりに行く理由を喪っていた。別に上山田温泉日帰りでも良かったのかもしれない。良かったのかもしれないが、予約した以上は行かねばならぬ。
駅に行きがけに適当にラーメンののぼりを建てていた飯屋でラーメンを食い、駅に戻った。
長野に向かった。本日の最終目的地は野沢温泉である。野沢温泉へは飯山よりバスだ。長野乗り換えで飯山線に乗るのが良い気もしないでもないが、1駅であれば特定特急券になるので新幹線で良いだろう。
時刻をよく見てないワイ「いい時間だしこれでええか〜」
— 市川 旭 (@Ichikawa_ykhm) 2021年11月20日
いまワイ「長野で50分あるのか……」
長野で暇を持て余しているようでいて実質大して暇でもないので急いで観光地への訪問を行っていた。まずは東急百貨店である。
東急百貨店は長野市内唯一の百貨店である。そこはかとなく五島慶太を感じる*3。デパ地下は長電長野と直結しており、程々に栄えていた。レストランフロアはエスカレータで上がれないが程々に人が入っているように見えた。屋上は屋上でなんかあるっぽいが、何故か入れなかったのでまあ、仕方あるまい。特に減床もしていないし、東急グループが今のままいい感じに運営し続けられれば整理されることもなく続くのだろう。
やや時間があったので長電長野を拝観し、JR長野に戻った。