旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

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温泉(2)

読者諸兄の皆様は旅先でどういうところへ向かうだろうか?

色々あると思うが矢張り景勝地に行くのが普通だと思う。冷静に考えれば考えるほどそうである。景勝地は安定して撮れ高がある。だから景勝地は行くべきなのだ。

 

確かに筆者も景勝地には行く。行くが、それ以上によくスーパーへ向かう。元々貧乏旅行で惣菜パンやら飲料やらを買いだめするのにスーパーに足繁く通っていたらいつの間にかスーパーやら百貨店やらを見るのが楽しくなってしまった。人間わからんもんである。スーパーというもの、その土地の人々の生活が伺い知ることが出来るのでやっぱり面白いのだ。見知ったものの中にちょっとばかり見慣れないものがあるとテンションが上がる。地味に地場のパンやジュースや郷土菓子が並んでいるのも嬉しい。

 

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野沢温泉へは飯山からバスで向かう。

接続がかなりいい感じで、数分後にはバスが出てしまうらしい。バスの奥には長野で有力なスーパーマーケットであるツルヤがある。個人的には超ツルヤに行きたいのだが、このバスを逃すと完全にチェックインを逃してしまうのでやむなくバスに乗り込んだ。

バスは結構空いていた。乗客は十数人程度だったと思う。ハイデッカーの高速仕様と思われる車で、全席シートベルト完備の中々のものであった。

 

まあこの路線高速乗らないんですけど。

 

 

ちなみに、乗り切れない場合は増車してくれるらしい。なので、基本はこちらを選ぶべきだと思う。一応長電バスが木島経由で野沢温泉までバスを出しているが、あちらは普通の路線バスで着席保証などしてくれない。

 

行程は駅から40分。一般道を右に左に進み、暫くすると野沢温泉村に入る。

野沢温泉村に入って5分くらい進むと、終点の野沢温泉中央ターミナルである。

 

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野沢温泉中央ターミナルは中央というだけあって近傍に旅館組合と観光案内所がある。
観光案内所が見当たらず右往左往していた筆者は、まず旅館組合の入り口にあったガイドマップを一部貰い、道を再三再四確認して観光案内所に向かった。

 

 

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観光案内所では今ホットなコンテンツのパネルが出迎えてくれた。

いや知らんかった。

本当に知らんかったのでマジでビビっていた。あるんだ。

温泉むすめはそれこそなにもない時代からなんとなくは知っていた。当時はよくあったn番煎じの擬人化ものとばかり思っていたし、何年持つんかなとぼんやり思っていたものだった。CDやらゲーム*1やら漫画やらのメディアミックス戦略を取ってやって来たが最近は完全に放棄しつつあり、どうなってんやろなぁみたいなのはあった。あったが、なんか温泉むすめのパネルがある宿みたいなのがTLに流れてきたり、旅先でパネルを見るようになったのも最近である。どうも土地に根ざしてしっかりやっていくと決めたようだ。良いことだ。これならあと5年10年くらいは続いてくれそうだ。

 

 

観光案内所で幾つかパンフをパラパラとめくり、いい感じっぽさそうなパンフを一部貰い、宿に向かった。

ちなみに、300m程度離れた宿に向かうだけで3回位道に迷い己の位置を見失ったのはここだけの話である。なんとなくでGoogleMapを見ていると本当に道がわからなくなる。

 

一泊一万の宿に投宿した。スリッパが6つくらい出ているので、今日の客はまあそんなくらいなんだろう。飛び石連休なんだよな?

 

小綺麗なものの年季を感じる宿に荷物を殆ど放って温泉街散策へと向かった。仕方ない。日没まではあと1時間ほどしかない。日没までにとにかく撮って撮って撮って撮るしかないのだ。日が暮れてもキレイというのはあるんだろうけれどもそこまでして撮るのも面倒くさい。第一細部が見えない。なので日が暮れてからは湯浴みに専念すべきだろう。

 

 

 

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温泉街はほどほどに人で賑わっていた。

チェックイン時に「最近やっと人が戻ってきたんですよ」と言われたことを思い出した。いやすまんかった。一人で泊まれること知ってたらいつでも行けたんや。

戻ってきたとはいってもキャパシティ程の賑わいというものでもなかった。道の両岸にホテルや宿屋が並んでいるが、この人手だとそう埋まってもいないのかもしれない。

酒屋を拝観したり、ヤマザキショップを見たり、色々しつつ日が落ちる中この地で最も映える麻釜を拝観した。

麻釜は100度くらいあるらしく、危険なので観光客は寄ることすら出来ないらしい。確かに湯気がこれでもかというほどモクモクしていた。説明や解説を見て、実際に見ても尚筆者は至って呑気であった。この意味の正確なところを知るのはおよそ30分後である。

夕暮れ時の仄暗い温泉街。日観連の看板を照らす木造の旅館を眺めつつ、いつかああいう宿に泊まりたいもんだねぇと思いながら、そこそこの撮れ高に満足して宿に戻るのであった。

 

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麻釜湯。名前の通り源泉は麻釜だという。

筆者は宿で浴衣に着替え、風呂に来ていた。最初は大湯を目指したが、人大杉で断念したのだ。13の外湯があるらしいので、別に一つにこだわる必要はない。なので、近くでどこか開いているところとまず河原湯に向かった。野沢温泉共同浴場は基本的に狭く、ドアを開けるとすのこ1枚程度の幅の下駄箱兼脱衣スペースがあり、すぐ隣が浴槽という凄まじいロケーションなのだ。脱衣スペースで脱いでいる合間にも、浴槽に入っては出ていく動きを見ることが出来た。入っては出ていくのは一人の人で、流れるような勢いで入っては出るをしていた。なんてことはない。入って理解した。クソ熱いのだ。筆者はとりあえず足だけつけた。足だけであれば数十秒持てた。持てたが、結果として若干ヒリついている。ペタペタとサンダルで歩きながら、まだマシな風呂はないかと近所の湯を探して来たのが麻釜湯である。

麻釜湯の名称は先程のとおりである。

麻釜についても、先程書いた通りである。

何が起こるかはまあ、明瞭であった。しかしこの時はそんなことは知らんかった。

 

かけ湯をして入る。まあ入れなくはなかった。入れなくはなかったが、入っていい温度なのかはよくわからない。メタクソに熱い。肩まで浸かり、とりあえず時間を数えようと頭の中でカウントしていく。10まで数えて、それ以上数えるのは面倒だからと10まで数えるやつを3~4回繰り返していた。

ザバッと出る。出るときもヒリつく。めちゃくちゃに熱いのだ。熱いからか、大して入っていないはずなのに体の芯から温まっている気がする。不思議なものだ。

まだちょっと時間があったので大湯へ向かった。

大湯はぬる湯と熱い湯があった。まずはと熱い湯に突撃した。

熱かった。

人間何も学ばない。やむなくぬる湯に向かった。果敢に突撃した阿呆を見た地元の人に「熱いからね」「そっちのほうが加水されてるから」とか色々とレクを受けていた。

大湯で湯浴みをしていたら良い時間になったので、宿に戻った。

 

宿では夕食が用意されていた。宅にしては贅沢な夕食をちまちま食っていた。

何もかもがうまかった。鍋も、魚も、味噌汁も。そして米も。米はめっちゃ盛っていたら宿の人に苦笑されつつ「おかわり自由ですからね」と言われてしまった。遠慮なく1合半くらい食った。うまいおかずを食いながら食ううまい飯は最高にうまい。

ビジホばかりではなく、たまには宿に泊まっておくものだ。そう思った。

 

飯を少しばかり食いすぎた気がする。あと飲み物もほしい。ということで浴衣のまま酒屋に向かった。酒屋で酒を2本と麦茶を1本買った。麦茶をちまちま飲んで水分を補給し、再戦とばかり外湯に向かった。

外湯は幾つかあるが、一番マシな温度をしているのが熊の手洗湯というところらしい。最後はそこに行くべきだろう。大体のルートを決めて宿を出た。

夜なこともあり、丹前を羽織ってもそこそこに冷えた。ひどいのは足だ。足は何もガードが無いのでやたら冷える。

冷えるので途中にあった上寺湯なる外湯に入った。

バチクソ熱かった。かけ湯だけで挫折して帰ろうとすると、地元のおっちゃんから入る際のレクが始まった。

入るときだけ水を入れて若干冷ましてから入る。

入ったら水は止める。

かけ湯をこれでもかというほどやり、湯の温度に慣らす。

入ったら水は止めろ。

入ってしまえばこっちのもんだからなんとかなる。

水は止めろ。

 

以上である。水は止めなければならない。

水を止めずに出ていくクソ野郎のせいで温かい湯だと思ったら下は水だったみたいな悲しい事件が年数回起こるなどの話を聞かされていた。ひどい話だ。野沢の湯は割と熱いので、多分地元の人もサッと入ってサッと出ることが前提なんだろう。ぬるいと中々出れなくなっちゃってね。みたいな話もしていた。

熊の手洗湯に行こうとしていると言ったら「あそこの熱い湯に入って入れないようであればここの湯には入れんよ。あそこが一番ぬるいから」と言われた。それはそう。いうて42度らしいのでそこまで憂慮はしていない。「熱いって人は42度でも熱いらしいよ」と言われた。

地元の人とほぼ同時に出て、熊の手洗湯を目指した。

 

熊の手洗湯は一応この野沢温泉では最も歴史ある温泉らしい。人はそこそこ居たが、皆ぬるい方に入ってた。ぬるい方には入れそうもないので、背水の陣の構図になりながら熱い湯に入った。

結構ぬるめだった。

ぬるい湯に入ると上がり時を見失うみたいな話を聞いて「ああ確かにそうなのかもなぁ」と思っていた。結構入りやすい。入りやすいが、長湯するには流石に他の湯で消費した体力やら何やらで無理っぽい。ちょっと残念だ。

いい湯だった。2分くらい浸かって、宿に戻った。

 

宿には内湯もある。せっかくなのでと内湯に入った。

内湯はぬるかった。

めちゃんこぬるかった。

100人が100人ぬるいと言ってくれるぬるさだと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2021/11/21

朝。

6時に起きて、適当に小便をし、湯に向かった。

向かうのは熊の手洗湯である。マシな温度なので、あれなら長湯出来るかと向かうことにしたのである。天気は晴れ、放射冷却のせいかクソほどに冷えていた。冷えながら熊の手洗湯に着いたが「この時間帯誰も入ってないからむしろ熱いのでは?」という疑念が頭をよぎった。狭い脱衣所で浴衣を脱ぎ、熱めのお湯に浸かる。

 

結構熱かった。

 

いうて10秒くらいは粘ったが、熱いので撤退。ぬるめに避難した。

ぬるめはまあまあいい塩梅だった。個人的にはこのくらいでも良い気がする。暫く浸かり、再戦とばかりに熱めに入ろうと足をつけて撤退する阿呆をして、風呂から上がった。

熊の手洗湯の向かいには温泉卵を作るスペースがある。書いてあることを鵜呑みにすると、12分くらいで温泉卵が出来上がるらしい。

 

温泉卵ってもう少し時間掛かるんじゃなかった……?

 

多分源泉がクソ熱いせいだと思うのだが、温泉卵の個人的解釈とはやや異なるなにかを提示されている気がする。

宿に戻り、暫くすると朝食である。

朝食もめちゃくちゃ美味かった。

昨日は日が暮れてあんまり撮れなかったからと、朝食後すぐにカメラを持って散策に向かった。

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まあまあいい感じに一周して宿に戻った。

ちょっと早いがチェックアウト時間がよくわからないならまだしも他の客が全員帰っていて靴箱に筆者の靴しか無いのを見て、チェックアウトすることにした。空気に倣うやつである。

この後丁度いい具合に木島経由のバスが来る時間帯だったので、それに乗り野沢温泉を後にした。

 

 

 

余談であるが、野沢温泉でおすすめな外湯は熊の手洗湯と真湯である。なぜならこの2つは温度が40度台だからだ。ほかはこの2つに入った後に行くのでも問題なかろう。

 

*1:ゆのはなコレクション、ゲームシステムがよくわからずよくわからないままサービス終了してしまったイメージが強い