旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

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最果ての鉄路 (4)

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雪晴れで雪を掻く、というのは矢張りラッセルを撮っていると一度は撮りたくなるカットだと思う。雪は降るから積もるのであり、積もっているから飛ばせるのであり、そう考えると割と矛盾している内容であるように思えてくる。思えてくるが、撮れないことはないのだ。その僅かな可能性に一縷の望みを託しお天道様と勝負して最高の一枚を撮りに行くのが恐らくラッセル撮影というものなんだと思う。

そして去年お天道さまとの勝負に勝利したので、これ以上のものはあんまり期待できないよなあというのが今日までの戦果というところであった。もしかすれば今日もかもしれない。そうなったらそうなった時。次の計画を立てるまでだ。

 

 

2022/01/10

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まず一発は天塩中川以北で撮るべきとのご意見が寄せられており、歌内に来ていた。今日は精々マイナス15℃ということで、去年よりは大分マシな行程になりそうだった。天候は曇り。途中は川霧もひどく、雲も低いので俯瞰は望み薄ということでこの時点で雄信内俯瞰は選択肢から外れていた。

いい具合に天塩中川の北でいてかつ行きやすいということで、歌内と天塩中川の合間のカーブで撮ることになった。

 

通過までそう時間はないタイミングでかつキャパが少ないとあり、結構混み合っていた。場所が無いのでと柱の脇で構えている人の更に外から撮ることにした。草が支障して結構厳しい。

待ち構えていると段々と雪が強くなってきた。視程が狭まる。ピンを外しそうだ。

 

 

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めっちゃ雪を掻いていた。昨日複線用が下ってったのでてっきり複線用が来るかと思っていたのが、単線用が来た。隣のおっちゃんと話していると、どうにも我々が撮った後に名寄で交換が入ったらしい。そういうものなのか?

手早く引き上げて我々は最後のポイントに向かっていた。基本的にラッセルの撮影は安全第一を旨としている。飛ばすよりは流れに乗り、ホワイトアウトしたら減速するという心持ちで進んでいる。なので行程がカッツカツになる1日3箇所の撮影をはやらないことにしていた。回ろうと思えば幾らか回れるようであるのだが、なれない雪道を飛ばすのは怖い。

 

 

 

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美深にある道の駅のようなところで排尿していた。

向かう先は東恵橋。近所にトイレも無いのでここでというわけだ。昨年もラストに東恵橋に向かい、美深でトイレに行っていたことを思い出す。

 

 

 

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東恵橋は日進と智北の間にある道路橋である。立派なトラスがあるが、国道でも道道でもない道であるため車は滅多に来ない。キャパも十分ある。天気は美深を過ぎてもずっと曇りだが、見る限り雲には切れ間が見える。

収納氏やK特急氏が持ってきたスコップを借りて足元を除雪する。橋の端は雪がつもりがちなので、そのままだと雪に足を掛けてもたれかかるような構図になる。これが結構待つにはつらいので、できるならフラットに均したほうが楽で良い。我々は皆一様に足元の安全地帯を整地し、列車が来るのを待った。

 

「ここは練習電来ませんからね」

そう収納は言った。

実際去年も練習電が無かったし、今年も無いのだろう。

エモイラストをRTして時間を潰しおよそ一時間。

 

 

 

 

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天候は晴れ。雪は程々に積もっておりいい感じに撥ねていた。作業灯も点いており、考えられうる最高のロケーションだった。

 

 

「今からなら石北行ける気がするんですよ」

収納は言った。昨日も「今日の石北は雪掻いてると思うんだよなぁ」と言っていた。初日の石北ラッセルは回雪だったのでできれば排雪シーンが撮りたいというところなのだろう。筆者もそうだった。

この瞬間、愛別に行くことが決まった。

 

名寄を超えて、士別剣淵ICから道央道に入る。このままだと10分くらい余裕がありそうだ。50km制限の道は元々飛ばす人が多いのかめちゃくちゃな勢いで流れていた。案内板には「除雪作業中」「注意」と不穏な文字が浮かんでいた。「除雪車両って追い越せないんですよね」と最も雪道に詳しい収納は語る。和寒ICの出口を過ぎる。入口の脇から黄色い車列が湧いてきた。

 

石北ラッセル敗北が決まった瞬間である。

 

「ああ」「終わったな」みたいな雰囲気が車内に充満していく。車列の先頭の車は恐ろしい勢いで除雪車両を煽っていた。煽っても無理だと思うし除雪前の道路は危ないと思うぞ。「前の、わナンバーなんで追っかけですかね」なんてことを言っていた。途中で追い越し車線が現れる。先頭の車が勢いよく追い越し車線に躍り出た。「基本追い越し車線で追い抜けないようにするはずなんですよね」という言葉どおりに車列から一台追い越し車線側に出て抜けないようにブロックしていた。幾らか煽っていたものの、やがて無駄だと気がついたのか、やがて煽るのを止めてしまった。

我々の行く先は愛別ICである。比布JCT旭川紋別自動車道に入る必要がある。比布JCTで左側に旭川紋別自動車道への通路が生えてくる。先行する除雪車は左に入っていった。この先も除雪するのかと思われた。

 

比布JCT料金所で脇に入っていった。

 

 

結果、ラッセル通過の15分前に撮影地に辿り着いた。

 

 

 

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一昨日撮っていたので時刻がわかっていたのは大きい。直前までポジの確認をしてエモイラストをリツイートして撮影した。三連休の末尾だからか人は少なかった。ラッセルの後は誰も居なくなり、大雪を撮るオタクは我々4名だけになっていた。

「じゃあ、帰りますか」

 

 

 

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18時のライラックで札幌に帰った。

 

 

 

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「せっかくだから肉焼きません?」ということで、札幌で松尾ジンギスカンに来ていた。
すべてが無事(?)に終わり、酒を飲み、肉を焼いていた。
肉は美味かった。何もかもが良かった。

 

この後は近所のJRインに入り、泥のように眠っていた。明日は明日で糠平温泉に泊まる。一泊くらいは温泉じゃない宿があっても良いだろう。