旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

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乗りつぶし

気がつけば18券シーズンが終わろうとしていた。

無計画に計画的に利用したことで残り1日分となっていた18きっぷではあるが、それでも1日分残っていたわけで、どうにかして使わなければならなかった。もともとほぼギリギリかギリギリに近ければ積極的に使っていただけのこともあり、ここで使わないとモトが取れないという事情もあった。だもんでどうにかうまいこと使えないものかと思いながらも最後の週末も間近というところまで来てしまっていた。

それは木曜の昼休みのことである。ふと思い立ってe5489を開いてみたら金曜発の瀬戸の指定席に空きがあるという。これはもう乗るしかないだろう。このビッグウエーブに。

 

 

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東京駅は程々に混んでいた。いつもの東京駅だ。
地下の酒屋で二合瓶を買い、間もなく列車の入るホームで待っていた。
向かいは近郊型の通勤列車が時折発着している。特急湘南も出るらしい。何ならそちらのほうが賑わってさえいた。

暫くすると、白色の前照灯が有楽町方に見えた。14両編成の出雲市琴平行き電車は静かに入ってきた。前よりの5号車が充てがわれた区画らしい。開扉まで時間があったので軽く先頭を撮影した。戻ってくる頃には扉が開いていたので中に入る。座席車の成れの果て、のびのびシートが出迎えてくれた。

のびのびシートは人間的な睡眠がやや犠牲になるが、反面特急料金だけで眠れるとても都合の良い座席だ。お値段大体3k。平たいカーペット敷の区画で座席で寝るよりは遥かに快適に過ごせる。最低限の寝具は添えられており、敷布団か掛け布団かわからない毛布みたいな奴と枕カバーみたいなささやかな布地が区画の端に鎮座している。これをセルフサービスでいい感じにするだけで寝台料金が不要になるのだ。裏を返せば寝台車のリネンの交換はべらぼうに金がかかるのかもしれない。

区画の端に座り、特急湘南号に乗る通勤客を眺める。夜行の良さはだいたいここだ。やや早いが寝るために酒を開けた。たとえ浅かろうと寝たほうがマシなのは言うまでもない。なので酒を開け、ぐびぐびと飲んだ。まあまあ酔うだろうと思っていたが、そこまででもなかった。眠気が来るわけでもなく、なんかなぁと思いながら横になり枕カバーをアイマスク代わりにして寝た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まもなく岡山ですの放送で今晩何度目かわからない起床をした。のびのびシートは眠れないだろうと考えていたのである程度は想定の範囲内とも言える。横になれるのはかなりマシだ。が、欲を言えばカーテンレールがあるんだから隣との間を仕切ってほしいのと、廊下を減光してほしい。フェリーで眠れてこれで眠れないのはだいたい光量だと思う。

毛布にくるまりながら抵抗を続けるも、だんだん明るくなる外に屈して睡眠を放棄した。もう朝なのだ。

 

駅の駅弁屋で幕の内を買い、マリンの指定券を買い、18券に日付を押して貰う。旅の目的はあくまで18券の消化なのだ。どうせ起きてたんだったら前途放棄して岡山で降りるんだったなぁと思うも後の祭りである。ゆっくり飯を突きながら瀬戸大橋を渡る。飯はほどほどに美味かった。

 

岡山で糸崎行きに乗り換える。大抵は18シーズンであるとこういう列車は混むものと相場が決まっているのだが、幸いなことに着席することができた。

 

糸崎で30分待ち、次発でも乗り換えられるということで、途中で降りることを検討した。三原でも散策すればいいかなと思っていたのだが、三原は糸崎の隣であり全く散策できないことが発覚した。糸崎の手前で丁度いいところということで、尾道で降りることにした。時間はないが、まあ急いで回れば何か見れるだろう。

 

 

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筆者の知る尾道駅はいつの間にか消滅し、小綺麗で色々ある駅舎に変わっていた。駅前も昔来たときよりもサイクリング客目当てっぽい店が増えたような気もする。前来たのは大体10年前らしい。10年も来なければそら変わるというものだ。

前来たときは気にならなかった色々が気になるものの、時間がないので一目散に山を目指した。尾道といえば俯瞰だろう。

 

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距離的には行けるだろうと踏んでいた展望台を目指したものの、ありえん高低差を前に挫折した。体力の無さは気力でカバーできるものではない。せめてと途中の開けていた土地とまだ残っていた桜と合わせて尾道水道を収めて撮った。

 

20分ちょっとしかない中だったので、駆け下りるように駅へと戻った。

 

 

一駅隣りの糸崎駅で乗り換える。

乗り換え先の列車の座席が埋まっていたらと思っていたのだが、案外空いていた。駆け足で列車に向かうと割りとあっさり座席を押さえることができた。ここまでほぼ座って動けているのは非常に楽で良い。

EF210の貨物に抜かれ、しばらくして糸崎駅を出た。

 

 

ちなみにこれは軽くググったところ西条一帯のローカルだけそうなっているらしい。中国らしさを感じていたが、山陽の一角にジェネリック山陰が存在しているというのが実態らしい。とはいえ、理由はどうであれ飴色の瓦を載せた日本家屋が連なる光景は矢張り何度見ても良いものだ。出来れば次は山陰で見たいところだが。

 

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広島に来た。目的はタイトルにある通りで、実際のところは可部線の延伸区間の乗車なのだが、いい具合にあき亀山行きが行ったばかりであった。次の列車は35分後だった。20分間隔の中で微妙にあき亀山行きが間引かれるタイミングに合致するとこうなるらしい。飯時で時間もあるので、折角だから名物を食うことにした。

 

供食からの完食までは早かったが、いかんせん店を探すのに時間を掛けてしまった。お好み焼きは結構熱く、早食いは火傷の可能性が容易に考えられたので、1248発を見送り1308発を目標に食った。こういうとき20分間隔だと次の戦略が立てやすくて良い。

 

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227系に乗り、終点まで向かった。終点は何もないように見せかけて滅茶苦茶にでかい病院がある。延伸から数年が経っているが、駅前ロータリーの造成中っぽかった。

少しばかり撮影して、折り返しの電車で広島に戻った。

 

 

広島で観光すべきか少々迷ったものの、新幹線に多少貢いででもやりたいことをやっておくべきと判断し、4kでショートカットすることにした。広島は矢張り電車を撮り、被爆建造物の福屋を見ておきたい。時間はあればあるだけ助かるところだ。

 

 

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昔来たときに比べてカメラもレンズもかなりマシなものになったお陰か、ピントの合う範囲が狭まり難儀していた。一番厳しいのは矢張り手前の架線にばかりピントが合うことだろう。晴れているのに影の落ちるここで撮り続けるのも勿体ないよなあという思いもあり、別のポイントで撮影することにした。相生橋などいい具合だろう。

 

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歩くのは楽しいが時間が消える。

八丁堀から原爆ドーム前くらいは乗ってよかったと後悔したのは紙屋町にたどり着きここが大体半分くらいの距離であることを思い出したときであった。

 

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やたら800の勝率が良かったのが癪だが、まあまあいい具合に記録できた感があったので紙屋町の方に戻った。連接は長いだけあって被られやすい。相生橋は交通量も多いので尚の事である。

 

 

 

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ちなみに、戻っている途中に3700が来て尺取り虫になっていたのは別の話である。

 

 

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あふれる夢、膨らむ夢、二人の夢。

広島に来たからには行っておきたい被爆建造物。何も原爆ドームだけではないのだ。他にも何件かある。その中でも割合有名で割合地味で誰も気にもとめていなさそうなのが福屋の八丁堀本店本館である。まあずっと現役の百貨店だから仕方ない。

デパ地下を見て、屋上を見る。

普通の百貨店だった。地方百貨店は寂れていたり大手と色々違ったりしていたりするものだが、至って普通の、良くも悪くも本当に百貨店らしい百貨店だった。人も入っているし、レストランフロアのテナントも埋まっているので、暫くはそのままの姿で居てくれると信じたいところだ。

 

 

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広島に来たからには見ておきたかった流川のクソデカ看板もいい具合に回収できたが、実物を見れば見るほど夜来たかったものだった。ついでに広島三越も見ておきたかったが、さくらの時刻が迫っていたので見送った。八丁堀から乗った電車は今では珍しいグリーンムーバーだった。

 

 

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駅前に来たときはさくらの10分前くらいであったが、切符はすでに買ってあるのでここでロスすることはない。実際小走りで向かったが余裕で間に合った。なんのことならホームで駅弁も調達できた。次の福山までの間に駅弁を食べるのは流石に厳しいしなんなら晩飯時ではないので夜食にととりあえず鞄に放り込む。空いている自由席の手頃な二列の座席に座る。

 

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行きはあれだけ時間がかかったのに、30分足らずで福山に着いた。

のぞみに乗るのも癪だしと微妙にさくらを選んでしまったがために微妙に時間が開いてしまった。せっかくなので、後ろに見えている城でも徘徊して駅前の天満屋を見ていこうと思う。

 

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福山駅甲府駅と同じように、城の中に建っているような駅だ。城から海側を拝めば否が応でも福山駅がフレームに入る。そんな距離感である。入り口に立てかけられた宴会はいい具合に取り計らってねという看板から桜が見頃かと思ったが、もう既にピークは過ぎたようで良くて葉桜であった。福山城天守らしき建物は工事中でいい具合に撮れず、まあまあ駅と城のカットが撮れたから良いかと反対側の天満屋に向かった。

 

時間はあまりなかったが、幸い地下の食品売り場に繋がる通路が生えており、迷わずアクセス出来たのでどうにか酒を調達することが出来た。

 

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ここからまた18券での修行である。日付が変わる前には大阪に着けるので、修行感はそこまでない。岡山行きで始発でもないのにらくらく座れたというのもある。もっとも1分乗り換えの岡山でちゃんと座れればの話ではあるが。

 

ヌルゲーだった。一昔前の二両に詰め込まれボックスもロングもどこにも座れず数時間虚無の立席を強いられたあの山陽本線はどこへ行ってしまったのか。いや、どこかへ行って良いんだが。良いんだがにしても。

 

姫路でも楽に新快速の座席を抑えることが出来た。良いのかそれで。今日立ってたの尾道から糸崎まででしかないぞ。広電も座れたし。楽で良いのは事実なんだが、18券はほどほどに座れないイメージがあっただけに肩透かしを食らった気分だ。

2時間揺れに揺られ、微妙に睡魔に襲われつつ、淀川橋梁のガタガタという音で起きたか起こされたか新快速を降りて地下鉄に乗り、淀屋橋へ向かった。

生存確認が無駄にRTされていたのはよくわからなかった。

淀屋橋に向かったのは、淀屋橋のアパを取っていたからだった。アパは大浴場もあり、RJ45が端子だけではなくケーブルまであり、価格の割にはまあまあ快適で良かった。大浴場の露天風呂が全然露天していなかったのはやや癪だが、ビル街だし高くはない宿だし致し方あるまい。

風呂上がりに福山で買った酒を開け、広島駅で買った瀬戸のかきめしを食う。米の上に大柄の牡蠣が乗っている。ビジュアルがもう既に完成している。最早語るまでもなく美味いのだが、米の中にも牡蠣が入っていて更に良さみが深かった。最高だった。次行ったときも買おう。

売店にあった季節限定の文字が気になるところではあるが。

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