朝8:00。我々は静岡駅前の静岡支社に向かっていた。
さわやかウォーキングに参加するためである。
ほっほ pic.twitter.com/qKd8QGMUB3
— 市川 旭 (@ithikawa_asahi) 2023年5月21日
最早知らぬ人は居ないレベルで有名なさわやかウォーキングであるが、筆者は実は参加したことがなかった。第一わざわざ歩くために東海の駅まで行くのも癪な部分はあった。しかし車庫の公開もセットとあらば行くほかあるまいということで一念発起してきたわけだ。観光も一応昨日やるだけやったので、まあまあといったところだと思う。
さわやかウォーキング素人だったので全然知らなかったのだが参加者は結構多い。駅からとめどなく参加者の列が静岡支社に吸い込まれている様を見るとこのイベントがいかに大規模なイベントであるかを理解させられる。
勿論さわやかウォーキングと題するだけあってさわやかに歩かされる。まず微妙に住宅地っぽい商業地を外れた幹線道路とかいう虚無を無限に歩かされる。無である。普段から歩いているわけではないのでこういうところで大した目標もなく無を徘徊するのはまあまあキツさがある。同じような人民が黙々と歩いているのもよくない。ずらし旅を愛する筆者としては、矢張り人の少ない中街を見てああでもないこうでもないと考えながら歩くのが良い。こうやって周囲と協調しながら決められた目標に向かって歩き続けるのは窮屈な義務感が滲み出てきてしまうのでよろしくはないのだ。端的に換言すると、最初のチェックポイントに着く前にはまあまあ飽きていたのだ。
「SNSのアカウントフォローでステッカー配ってます」という係員に釣られて列に並びアカウントのフォローをしようとしたらすでにフォローしているアカウントだったことが判明したなどの虚無イベントを幾つかこなし、静岡車両区の見学を終えた。様々なコーナーがあったのだが一番面白かったのはJR東海の保線のブースが一番過疎っていたことだろうか。人が全く寄り付いていなかった。あの好奇心旺盛な何でも押したり投げたりするキッズですら寄り付かないのは根本的に何かしら原因があると思う。公開イベントまで協力会社頼りでどうする。本当に何もできない会社になるぞ。
静岡車両区から長沼車庫はまあまあ近かった。虚無の道ではなく時折列車や電車が見られるのはオタクとしてはとても良い。ササっと何発か静鉄をとって車庫にたどり着いた。車庫は昨日見ているので特に新規性はない。あるとるれば下痢でどうしようもなく借りたトイレが屋外のコンクリートブロック造のいかにも期待できなさそうな感じなのに中に温便座が取り付けてあったことだろうか。筆者は便器とトイレットペーパーさえあれば良いという思想で向かっていったので正直この重装備には結構ビビった。ありがたかったのは言うまでもないが。
虚無の道を通って新幹線の柚木保守基地へ向かった。片方は線路だが対して車両が見えないので虚無感が強い。車両が見えないのは他でもない目的地である柚木保守基地があるからであった。柚木保守基地は線路に沿って細長く、しかし解放されている入口は一つしかない。つまるところ保守基地を眺めながら歩いていようが一向に入れる気配が出てこないのだ。無限に歩いてやっとのことで入口にたどり着いた。こちらは協力会社がおらずあまりやる気がないのか、マルタイの前に小さいブースを出してiPadで動画を公開するだけしていた。筆者は入口付近にあったピカピカの保守用車が何なのか気になって仕方がなかったがついぞその正体が判明することなく会場を後にした。
ショートカットすれば早いんだけどなぁと思いながらも律儀にコース通りに旧東海道と1号を通り貨物駅へと向かった、今日だけ一日関係者なので堂々と駅構内に侵入できる。
JR貨物はJR東海よりはさすがにやる気があるらしく、展示車両のパネルを建てたり鉄道貨物のプロパガンダや大阪万博のプロパガンダに励んでいた。
しかし東海は何故主催なのにあそこまでやる気がないんだ?社内調整のほうが警察協議より余程面倒なのか?
混んでいる展示場でトイレを借り、ゴールにたどり着いた。所要約4時間。まあそんなところかといったところである。ゴールは比較的栄えており、矢張りさわやかウォーキングが非常に知名度の高いイベントであることが伺えた。
時間的にちょうど昼だった。K特氏が良さげだからというトンカツ屋へと向かった。市街で食ったほうが良いのではと思いつつ行ったが中々美味い店だったので良かった。
東静岡と柚木の距離が大体同じくらいだったので柚木駅に向かい、電車で新静岡へと向かった。今日はちゃんと市街地を観光しよう。
県都の市街地に一個くらいあって欲しいのは百貨店である。静岡にも当然のようにあり、伊勢丹がある。伊勢丹の下から上まで徘徊し、屋上で一息しているとよくわからん塔が見えたので向かってみたら市役所でぶったまげていた。最初はマジで式場か何かかと思ったくらいだ。
外から見てこんだけすごいんだから中もまあまあ凄いだろうし見せてくれたりせんもんかなぁと思いつつも特に見せてくれそうもなさそうだったのですごすご退散した。本来的にはこういうものも事前に調べてから観光すべきではあるのだが、何もかも調べきれるわけでもないので矢張り歩いていて取れ高があるとそれはそれで嬉しいものだ。だもんで歩く時間は矢張りどこかで取っておくべきなのだ。
歩いている時間の99割くらいは徒労である。たいてい大した取れ高はなく、無限に歩き、時に建物を観察し、或いは他所の街との差を考え、終わる。そういうものだ。ビルを見て、一棟に見えるけど色と窓割が違うし再開発ビルで地権者ごとに区分けしてるとかなのかなとか思っていた。
さわやかに歩き、街を歩き、さすがに歩くのも疲れてきた。
まだ昼過ぎではあったが、駅前の松坂屋で酒を買った。松坂屋で買ったのは近いのもあるが、松坂屋のほうが地の酒が揃っていたからという理由もある。買ったのは臥龍梅であった。聞いたことあるなくらいのノリで買ったが、たいていシロートが聞いたことあるなレベルの酒はいい酒なのだ。実際いい酒だった。
駅で土産を買い、駅弁を買い、少々早いひかりで東京に帰った。土産はうなぎパイと信玄餅をセレクトした。静岡土産は酒があるからこれでも良いのだ。