旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

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さわやか

たまには関東でも北海道でもないところに行きたい。
そう思うのはごくごく自然なことだろう。
しかし自然に考えたところで自然に行動できるかは別である。用がなければ行くこともない。北海道は用があるから行く。関東は近いから行く。であるならばそれ以外はどうなるかというと、まあ想像に難くないわけである。

しかし、今回は都合が良く用になりそうな話が出てきたので、それに体よく乗っかろうというところである。

 

東海道新幹線はまあまあ乗るが、乗るのはたいていのぞみである。ひかりには乗ることはほぼほぼ無い。理由は単純に乗る理由がないからだ。理由が無いというのはこういうところにも影響してくる。理由が無いでいうと、JRCPの駅弁というのも中々食べる理由が無いのだ。なぜなら東海道新幹線に中々乗らないからである。駅弁を食べるために入場券を買ってもよいのだが、JR東日本管内の駅弁とJRCPの駅弁を比べてどちらが優れているかというとまあお察しの通りなのでそこまでする機運は低い。今回も品川駅の乗り換え通路で駅弁を買い込んでもよかったのだが、そうやっているといつまでもありつけなさそうだったのでわざわざ入場後に買ったというところである。買ったのは東海道新幹線弁当。可もなく不可もなし。模範的な駅弁だった。

 

 

静岡までは一時間でたどり着ける。

東海道新幹線はほかの新幹線に比べて特急料金がべらぼうに安いので、こういう18券がない時期は大人しく課金するに限る。目的地は長沼だったが、JRだと東静岡駅が近い。新静岡まで歩いていくのは手間だったので、いったん改札を出てSuicaで東静岡へと向かった*1

 

 

長沼車庫は過疎っていた。

家族連れと宅がほどほど。牧歌的なイベントだった。

大々的に展示しているものはこのボロだけだったので、撮るだけ撮って秒で静岡へと戻った。

 

 

松坂屋を見ていた。

松坂屋は中京が地盤の百貨店である。首都圏住みとしては上野のボロい奴が浮かぶ。やはりパッとしない百貨店のイメージが強い。大丸共々、関東では影が薄い存在だ。中京ではまあまあ存在感がある。静岡店がどうかというと、まあ。酒コーナーの日本酒は県内の地酒が多く、百貨店としては非常に尖った品ぞろえをしているように見受けられた。百貨店の酒コーナーにある日本酒は進物に使うものが多く、であるからこそ有名な奴でほぼ埋まり土地の日本酒の割合は結構小さめなのがセオリーなのだ。ここは7割はある。なんなら静岡県の地酒の二合瓶も結構ある。あまり進物のために使うものでもないとなると、地元のちょっと良い買い物みたいなポジションで選ばれる店なのかもしれない。それはそれでといったところ。

地下を眺め、酒コーナー以外は他の百貨店とさしたる違いは無いかなぁと思いつつ、静岡駅へと戻った。

静岡駅に戻りつつ観光地を調べた。静岡市の観光地はあまり調べていなかったが駿府城くらいしかないイメージはあった。実際駿府城は確かに書かれていた。そんなラインナップの中から選んだのが、登呂遺跡である。

 

 

登呂遺跡は静岡駅からバスで5分くらいのところにある。バスで5分なので歩いても行ける距離だと思う。せっかくなので博物館に入った。300円。安い。展示は悪くはないのだが、登呂遺跡そのものが別に有力な集落であったわけでもないため、展示もそんな感じの内容になっていた。

 

 

博物館を見終えて外の復元されているエリアを見ていた。

人しか通れない畔と格子状でありながらも一区画が小さい原始的な水田が続く光景は、現代の田園風景と比べると矢張りどことなくらしくなさを思わせるものであり、二千余年も経てば農村風景も劇的に変わるものかと思いを馳せるまでであった。このサイズでは牛馬も活用しづらさそうだが、全部人手でやっていたのだろうか。

 

我々が祈る場といえば神社である。祭祀の場というのは当時もあり、この祭壇が発展していって現在に続いてきたはずだがそれはそれとして現代の神社でポピュラーな流造を思えばあまり馴染みのない建て方である。とはいえ神明造は割と近いので、昔はこんなもんでそれが神明造に発展していったのかもしれない。あるいは、この建物を再現する際に神明造にインスパイアされたかである。

祭殿といっても、他よりやや大きくかつ屋根を直接支える柱があるくらいの差を除けば基本的には高床倉庫と同じような構造に見える。神明造は高床倉庫の発展といわれていることもあるので、徐々に分化していったのかもわからない。それはそれとして、倉庫には糧食やら農具やらを入れていたであろうと考えれば、自然と祈りの場ともなるし、政の場ともなる可能性は十分考えられるところであろう。

 

 

発掘された建物の全部が全部再建されているわけでもないが、それはそれとしても小さい集落である。堀で住居をかこっているが、外敵からの防御というよりは排水のためであったらしく、柵を張り巡らせていた吉野ケ里遺跡などの巨大な集落とはやはり作りが大きく異なる。そうはいっても吉野ケ里遺跡もあれだけの規模を維持するためには、こういう農村をいくつか抱えて交易で糧食を確保しつつ経営していたのでないかとも思うところであり、シンプルな農村というのも矢張り見て頭の引き出しに入れておくほうがより理解が進むのではないかと思う。

博物館で世界100か国程度の博物館を見てきたと言うおっちゃん*2にからまれ、無限に立ち話をしていたが、さすがに雲も出てきた上に人を待たせていたのでバスで駅前に戻った。

 

 

駅にはK特急氏がいた。K特急氏は「夕飯さわやかでええよな?」と言い、筆者がおっちゃんに捕まっている間にさわやかの整理券をとってきてくれていた。ちなみにまだ2時間あるらしい。この間にとまずは荷物を宿に投棄し、晩酌の酒とアテを求めて再び駅前へと戻った。

 

 

先ほどはしっかりと見れていなかったので、改めて松坂屋を見ていた。

なんか物悲しいコーナーがあり、さびれているのかなと思ってしまった。場を埋める努力の跡が見られたり、それでもちゃんと見た目に気を使っていたりと末期の清水屋よりはマシかな感がいくらか見受けられたが、それでもやはりテナントでも埋められず、直営売り場にもできない空き地があるのは寂しいところだ。このままだと北館は地下を除いてしまえば百貨店である必要性もなくなりそうな勢いである。ここで二合の酒を買い、いったんメロブに向かった。メロブは古いビルにあった。

まあまあデカく、陳列も表紙をこちらにおいてくれるものが多く、比較的見やすい印象を受けた。こういう店に来ると秋葉原店の小ささが矢張り気になってくる。最新作は多いがそれだけだ。見づらく狭く、基幹店としてはショボい。それが秋葉原店である。新宿店より広いから良いとかそういう話でもない。最盛期とらのあなよろしく、基幹店たるものまあまあな床面積であってほしいものなのだ。

 

 

メロブを一巡し、メイトをしばいてセノバへ向かった。

セノバはスーパーもあり、色々なテナントがあり、レストランがありと、都市型モール的なポジションだと思う。松坂屋が庶民相手にやってるのであれば、変に高くてかつ差別化できなければ全部向こうで事足りるし何なら松坂屋で出来ないことまでできるので太刀打ちできないのではないかとも思う。百貨店は富裕層向けに絞るしか残念ながら生き残れないのだ。今更娯楽を拡充しシネコンを併設できるわけもなく、庶民に手の出せる安くて品質の良いものを扱えるわけでもないとなれば、生き残れる道はそちらにしか残っていないのだ。悲しい話である。

松坂屋ではなくセノバに来たのは他でもなく、さわやかをしばくためである。さわやかは静岡ローカルのコーヒーショップである。本家本元がコーヒーショップって言ってたんだからあれはコーヒーショップで間違いない。ここの有名なメニューはげんこつハンバーグである。ハンバーグなのになぜか中身が赤い。そういうものなのだ。なんでも芯まで加熱する筆者としては、たまにはよく焼きをオーダーしてみたくなるが今回も今回で肉汁たっぷりをチョイスした。まあ、そうはいってもメーカーの推奨するやり方が一番いいというのはなんにでもある話である。飯も大人しくお勧めに従っておくのが安牌なのだ。

 

飯を食った後、我々は宿に帰ろうとした。帰ろうとしたと過去形なのは至ってシンプルな理由である。帰らなかったからだ。筆者らはまだ明るい駿河屋の明かりに誘蛾灯に吸い込まれる羽虫のように寄せられていったのである。

駿河屋は屋号に駿河とあるので静岡県の企業のような雰囲気がしてくるが、実際静岡県の会社らしい。そうはいっても静岡店ができたのは大分後の話であるらしく、元々ネット販売が主だったようである。であれば静岡店の規模もそれなりと思えるところなのだが、何故か静岡店はデカかった。間口はまあよくある店といったところなのだが奥行きが長く、果てしなく長く、中古グッズ家電スマホ同人誌からゲームCDDVDに至るまで比較的多くの商材を取り扱っていた。スカ色113のプラレールなんかも置かれていたがNゲージはなかった。謎采配だが、三大都市圏でもないのにこの広さでこの取り扱い商品というのは矢張り地元資本の意地とも見えた。

筆者らはここで1時間ほど店内を徘徊し、別れのワルツが流れてきてやっと退店した。

 

宿に戻り、荷を置いた。

宿につく前にGoogleMapを見て気になったものがあったので、また歩くのだ。深夜であったが。目的地はそう。ほかでも無い駿河屋である。

 

宿から歩いて5分くらいの場所に駿河屋があった。なんならさっきの店より近いくらいだ。中古屋は店ごとに品ぞろえが異なるので梯子するのがベターということでこちらにも来ていた。なんならこっちは午前2時まで空いているらしい。どう考えてもこっちの持ち込み査定で品物を集めて都心の店に流すとかなんだろうなと思いつつ、実際入って眺めてみた。まあまあ想像通りに片隅には段ボールが詰まれていたりなどしたが、中心部の商材とはやや傾向が違い、販売戦略の差のようなものを感じた。特にエロゲエロ本エロビデオはこちらの店のほうがあからさまに取り扱いが多く、そこはかとなくこちらに押し付けた感を思わせた。筆者らは天使騒々が並んでいるのを見て「早くない?」と言っていた。実際早くないか?半面旧パッケージ版痕が並んでいるのは中古屋らしいとも言える。小細工しなくても古いソフトが動くのはWindowsの強みなので、こういう歴史的な奴が並んでいると気になってはしまう。

こちらも1時間くらい観覧し、宿に戻った。23時である。

さっと風呂に入り、NHKを眺めながらセノバで買った刺身をつつきつつ、酒を飲んだ。

酒を飲みつつ蚊との死闘を繰り広げていたのだが、寝る直前に壁に止まって養生していたところを仕留め、辛くも人間側の勝利となったのである。

 

*1:今になって考えると新富士あるから東静岡まで一枚で出せた気がする

*2:時折スマホで説明してくれたが、GoogleMapを開いて世界各地どこを拡大してもヤバい数のピンが映ったので多分本当に世界中の博物館に行ってると思う