旭駅本屋

SNSが普及しきった今日において、人々はなぜブログを使うのであろうか。

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最果ての鉄路 (2)

※注意※
この話は冬の北海道旅行の話ですが、断じて厳冬期の北海道旅行を推奨するものではありません。
厳冬期の北海道旅行は、気象情報、交通情報をよく確認の上、十分リスクを認識して検討しましょう。

 

2022/01/08

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朝食をバイキングで軽く済ませて駅に向かった。

昨日は真駒内からであったが今日は札幌まで乗る。これは至って単純な理由で直行便でないと間に合わんからだ。今日は札幌で2名の宅と合流する手はずになっている。実際札幌駅では見慣れた宅が我々の乗るバスを出迎えてくれた。

もう一名もじき札幌に着くはずである。そして合流し、10時丁度のライラック旭川に向かう予定だった。

 

 

向かう予定だった。

 

 

そう、10時のライラック旭川に向かわないのだ。

 

合流する予定の氏が「ちょっとカメラ気になるんですよね。時間あったら札幌でキタムラ見ていきたいんですよ」「最終日で良いんで」とポロッと漏らしたことに対して我々は「なぜ前に買わない」「ラッセルの前に買うべきだろう」と温かいエールを送った。その結果である。

ライラックを一本見送る決断が昨晩行われた。
それもあり、氏は一目散にキタムラに向かっていた。
残された我々はやることがない、かのように思われるかもしれない。しかし、思い出してほしい。筆者はやるべきことがあるのだ。

 

 

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1日ぶりに桑園に来ていた。

桑園はJR北海道の本社があることで有名だが、イオンやホーマックや北のたまゆらなんかがあり、旅行者にとっては色々と有り難い土地である。筆者は一目散にイオンに駆け込んだ。勝手はよくわかっているので二階に駆け上がる。二階の紳士向け下着コーナーに行き、とにかく安いパンツを買った。2個で600円一寸。安い。探せばもう少し安いものがありそうなもんだが、それでも昨日のヤツに比べれば圧倒的に安い。

パンツだけ買って札駅に戻った。

 

 

札駅K特急氏、きむたつ氏と合流した。最後の一人はどうもまだカメラを見ているらしい。間引いていて次発のライラックが1時間後ですが良いんですか?と言っていたがこれは30分では間に合わなかったこと間違いなしなので結果的に良かったんだと思う。

東西自由通路の隅に生えるこじんまりとした駅弁屋のショーケースを眺め、どれを昼にするかと思案していた。

遅くなりましたと唐突に声を掛けられた。他でもない最後の一人、収納氏である。これで4人全員揃い、皆思い思いの駅弁を買って改札に向かった。

 

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ライラックはメチャクソに混んでいた。混んでいたが座れたのが不幸中の幸いだった。

岩見沢あたりで幾らか降りる人が居たので座席をデフラグしていい感じにした。隣に人が居るとどうしてもアレだからと、このタイミングで買っていた駅弁を開く。
選んだのは寿司だ。やまべ鮭寿しらしい。海産系駅弁が名をはせるがオススメとあった上にこういう機会でないと多分手に取らないだろうということで選んだ一品だ。
うまかった。

 

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旭川でレンタカーを借りて、撮影地に向かった。

「何か流しましょう」と運転する収納氏。K特急氏がカーステに端末をつないで曲を流し始めた。

 

 

緑が萌える

平野をまっしぐら

線路はのびる

列車は走る

 

ロマンを求めて

ゆく者たちを

優しくいだいて

くれるとこ

 

北の大地は

果てなくなつかしい

我は今北海道

 

 

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撮影地で冷えていた。それもそうだ。本番の1時間以上前に来たんだから当たり前だ。
いつものように雪山を踏んで締め固めて削って均して時間を潰し、暖をとった。
この作業は地味に重要で、平地の安全地帯を構築できるか否かで大分快適性が変わってくる。足までズッポリで動くスペースがないとなると流石に長丁場だとキツい。

作業をしていると汗をかきそうになる。羽織ったジャケットからベンジンの香りが漂う。キャパの割に人数の少ない撮影地はまだまだ目的の列車が来ないことを否が応でも理解させられた。宗谷線の南側からの掛け持ちが出来る土地ゆえ、人が来なければ列車も来ない。

運行情報を調べ、エモイラストをリツイートして時間を潰した。

 

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暫く待っていると人が増えてきた。じゃんじゃん供給される車は昨年の「どこ止めてるんだよ!!!」とトラックの運ちゃんに怒鳴られた事象を思い出す。

空は暗くなり小雪が舞ってきた。

「これは積もる雪ですよ」と北海道住みの収納氏が言う。今降っても遅いねん。

 

今か今かと待ち構えていると、遠くから警報機の音が聞こえてきた。

 

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10分後には大雪が来るからと、カメラを構え直して暫く待った。

もう日が暮れたのか、あたりは大分暗くなっていた。ISOを上げてシャッタースピードを上げて応じる。ISOを大分上げても実用上差し支えないくらいには写ってくれることに時代の移ろいを感じる。昔のデジカメはISO800でも割とガビガビだったように思う。

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ビレッジストアいろは*1なる全日食チェーンのスーパーで明日の物資を買い込み、宿に向かった。宿はナウい作りかと見せかけておきながら所々古さが隠せない中々エモい造りをしていた。三連休で13kはまあ安い方だと思う。ここに来て、冬の北海道は一般的にはオフシーズンとされていることを思い出すのであった。

部屋から近いからと飯までの合間に手早く露天風呂に浸かる。当然内湯で温めてから入るが流石に上川は冷える。露天風呂の容積自体もデカければ見える雪の量も昨日よりも多かった。ここは昨日とは違い、東屋以外は屋根が無いので舞ってる小雪がじゃんじゃん湯船に供給されてくる。内湯ではよくわからなかったが、若干硫黄っぽい香りがする。先程入った小さい内湯を囲う建物は作りがどことなく家屋っぽく、雪の積もる家を眺めながら風呂みたいなロケーションで若干テンション上がった。隣は渓流らしく音がするが、暗いのでよく見えない。広い風呂をもう少し満喫したかったが、時間もあるので手早く上がった。

 

夕飯はバイキング形式だった。並んでいる料理はどれも美味かった。

食いすぎたので部屋で一服し*2、内湯へと向かった。

内湯はこじんまりとしていた。カランと湯船とが小さく纏まっていた。奥にもなにかありそうなので奥へと廊下を進んでいった。

 

クソデカ浴室が出てきた。

 

廊下は橋へと姿を変え、眼下にはめちゃくちゃに広い風呂があった。湯気が籠もるのか視程がすんごいことになっている。ゆっくりと慎重に階段を降りて、広い湯船に浸かった。

浴槽はデカければデカいほどよい。

「そう言えばK特急さん昨日「温泉行きてェ」って言ってましたけど、どうです?」

「今浸かってるの温泉ですよ」

「いやあ、温泉行きたいなって」

若干熱めの風呂で、先程風呂に入っていたこともありあまり粘れず、そこそこ浸かって部屋へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撮影地情報

石北本線 伊香牛駅~愛別駅間

愛別駅から徒歩40分ほどらしい。実際歩いてきた猛者もいたので、公共交通のみでの訪問も可能。概ねピンのある辺りで線路側に向かう踏み跡があるので、そこからアプローチするといい具合になる。

伊香牛側のストレート、愛別側のアウトカーブ双方換算300mmは欲しい。

 

*1:1月末閉店

*2:この時、同期を素材にして作成された音MADを大画面で見ていた。