旅をしていてこう思うことはないだろうか。この街にあと何度来ることがあるだろうか、と。
旅行好きというもの、何分人生とは縁もゆかりもない場所に行きがちである。行って何をするかはその時次第というものだ。だが、それはそれとして、縁のないところで縁もゆかりもないことをしがちなのは一つの事実だろう。
幌延は来たことのない町だった。来ることが今後あるかというと、どうだろうか。深地層研究センターには行ってみたいところなので、また来るかもしれない。とはいえただただ遠いところなので、本当に行けるのかという疑問が出てくるところはある。いろいろまだ見ていない場所がたくさんある。それこそ関東もそうだし、関東以外の本州もそうだ。代表的な都市ですらまだまだ観光できていなさそうという印象を持っているうちは、北海道の行きにくい町は行く選択肢から外れそうなものである。
幌延は何分駅があり、特急も止まるそういう意味ではすこぶる生きやすい部類の町かもしれない。ただそれでも東京から早くて4時間などになろうものなら、やはり遠いところということにはなってしまう。
駅から歩いてセイコーマートに来ていた。この街にはスーパーが2軒もあるのだが、どちらも日曜休業だった。わざわざこんなところで足並みをそろえなくてもよいのだが。
そして、そんな街の事情を反映してか、セイコーマートには生鮮品が置いてあった。野菜がおなじみの什器に並んでいる。そういえばさっき歩いている中でなんらかのJVの宿舎を見た。この辺で工事というと豊富バイパスだろうか。あるいは深地層研究センターかもしれない。宿舎ではメシを作って食わねばならぬので、日曜や早朝深夜はセコマに野菜を買いに来るなんてこともあるのかもしれない。幾らかセコマを見てきたものだが、やはり周りの事情も知ったうえで来ると仮説が捗って楽しいものだ。検証ができないところは残念ではあるが、こればっかりはもうしょうがない。
セイコーマートで飴ちゃんなんかを買って出た。飴ちゃんは土産にしようと思う。
幌延に来た理由は何も徘徊するためではない。オタクシーに乗るためであった。
幌延オタクシーの腹づもりはしてゐる
— RER651 (@E6T5R1) 2024年2月9日
オタクシーがあるからという理由で三連休をつぶして稚内まで来ていた。なので氏にクソリプを飛ばしてオタクシーの配給を待った。実際多少待たされることを想定していたが案外早くオタクシーは配給された。「今行っても早いと思う」と氏は言っていたが、早く行けるだけ早く行くべきと説き伏せオタクシーで撮影地へと向かった。筆者はよく知っている。後になればなるほど場所取りでディスアドになっていくのだ。早めに行くに限る。
歌内に来ていた。推定到着のおよそ2時間前である。早すぎると思うと言われたが早ければ早いほど良いといったためここに着いていた。流石に早かったかもしれない。誰一人としていなかった。我々は良ポジを陣取りつつ、足場を固めた。足場を固める作業は施工性を高めつつ体温を高めていくのに良い。なので足場は固めていくべきなのだ。そしてある程度固めたが、誰も来なかった。誰も来ないのにポジをとるのも癪だった。気温は-18℃だという。
寒かった。
耐寒装備は揃えてきた。
カイロを両ポケットに入れてきた。
勿論宿で開封し暖気してきた。
しかし冷えていた。
ポケットのカイロは冷えていた。
キンキンに冷えているというわけではない。ただシンプルに反応熱がそのまま外気にやられて暖かさを喪っているだけだった。多分反応はしている。それでも10℃くらいはあるだろう。然し10℃では厳しかった。
我々はさすがにと車内に戻った。
暫くして、オタクが配給されてきた。中川からタクシーで来たという。猛者だ。
良いポジをいい感じにとりつつ、雑談をしつつ待った。
暫くして、練習電が来た。
ここから1時間らしい。
キハ54もいつまで持つだろうか。
その場で冷えながら待つとオタクがぽつぽつと配給されてくる。
オタクは思ったより少なかった。
良かった。
最悪掃かないとさえ思っていた。
ノルマクリアと言っても過言ではない。ここまで来た甲斐があるというものだ。
オタクシーに乗り、次の撮影地に向かった。3発行けると氏は言っていたが安牌を目指すべきと言い2発にするように説き伏せた。ここは確かに人が少なかったが次も少ないとは限らない。ヒリつかないうちに撮影地に行くべきなのだ。一応撮ってからすぐ追っかけられるからと天塩中川のこ線橋を確認したが、雪に埋もれていたので無理と判断されたのもある。
かれこれそんなわけで音威子府に来ていた。
誰も居なかった。通過まで1時間くらいしかないはずだが、それでもいなかった。今日は人が少ないのかもしれない。
結局10人くらいで撮っていた。
雪庇に登って撮ってる奴は2人しかいなかった。無論我々である。人は本当に少なかった。天変地異でも起こったんじゃないかと思っていたくらいである。
オタクに送迎代としてラーメンをおごった。道の駅のラーメンだ。道の駅の食堂には大した期待をしない類の人間であったが、ここのラーメンは美味かった。ETR651氏はトラディショナルな感じと表現していたが、確かに系統はそうだ。そうでありつつ、全体的に手堅く平均以上で纏めている。どこも突き抜けているわけではなく、新規性があるわけでもなく、ただただそのもののクオリティを高めていく。そういう方向性には、矢張りそこからでしか得られないものがある。
オタクは宿に向かうという。筆者は列車に乗るため駅に来ていた。何年振りかと言われると去年振りな気がする。あの時は天北線があったが今はもうない。窓口から人は消え、デマンドバスの真新しい案内が建っていた。あるだけマシではあるが、そうはいっても寂しいものだ。
使われないものはいつかなくなる。半ば慈善事業めいているとはいえ、営利でやってる手前限度があるのは当然のことかもしれない。筆者は天北線代替バスには一度も乗ったことはなかった。駅前のスーパー然り、何事もそういう積み重ねなのかもしれない。
札幌に来ていた。飛ばしすぎかもしれないが半分くらい寝ていたのと今更書けるようなこともないので間は躊躇なく飛ばしていく。然し考えてみれば、ここで寝るのはある意味当然のような気さえしてくる。撮影は最悪死を覚悟しつつ気を張りかつ体力を削りながらやるものだが、そこから一度暖房の効いた温かい車内で安心しきって座っているとなるとそれは当然疲れがどっと来て寝てしまうというものだろう。
半分くらい寝ていたにも関わらず旭川の座席争奪戦で自由席を抑えられたのは幸運だったと思う。
札幌に来た理由は勿論、乗り換えではない。雪まつりだ。雪まつり最終日だったので、こんな時期に来たからには流石に見ていこうということで札幌まで来たわけだ。尤も今苫小牧に抜けたところでというのもある。時間つぶしをしつつ、観光もできる。つまり一石二鳥というわけだ。
もしかしたら去年みたいにアロナの雪像があったりするかもしれない、なんてことを思いながらチカホを歩いた。今年は特に告知もなかったはずなので、まあ流石にないだろう。
アロナ?嘘だよな?
【さっぽろ雪まつり】
— ブルーアーカイブ公式 (@Blue_ArchiveJP) 2024年2月4日
今日から「第74回さっぽろ雪まつり」が開催されますよ!
会場にはプラナちゃんとの雪像があったり、
会場限定の特別なナレーションや広告もあるみたいですよ!
お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りくださいね!#ブルアカ #ブルアカ雪まつり2024 pic.twitter.com/gOeqRQHqGR
一応一週間前には告知されていたらしい。
気づかんわ。
アロナさんとプラナさんのアナウンスを聴き、ほかの雪像もぼちぼち見に向かった。
矢張り今年もあるだろう雪ミク雪像は見ておきたい。去年のプロジェクションマッピングの出来は秀逸だった。去年と同じなら西2丁目辺りにあると踏んで大通西2へ向かった。
無かった。
そんなはずはと大通西1丁目に向かった。
ここにも特になかった。
仕方なしに検索したら西11丁目にあるという。
筆者は天を仰いだ。
読者諸兄の皆様もご存じの通り西11丁目は大通公園のほぼ端である。遠いのだ。1kmくらい普通にある。
やる気を失っていた。
丸井今井の地下の六花亭で土産を買いつつ、三越を眺めつつ、どうせなら雪ミク電車が来ないかなと電車通りを歩いていた。
どうせなら来ないかなはたいてい来ないが、来てしまった。
丁度西8丁目電停まで来ていて「もうすぐ西11丁目か」と思っていた矢先である。
外回り中央図書館前行き。間違いなくこの後入庫する電車だった。
今なら間に合う。そう思った。
札幌市電は概ね長方形であるが、資生館小学校前から西8丁目の間はすすきの駅の方に向かって曲がっている。そして、ここからが大きいのだが市電は基本的に西4丁目とすすきので馬鹿みたいに時間調整で止まるのだ。経路と停車時間、この二つの要素が合わさることで、西8丁目からだと歩いて資生館小学校前に向かった方が電車よりも早く着くという状態が生まれるのである。時刻表を見て、GoogleMapを確認し、これなら間に合うと確証をもって資生館小学校前へと速足で向かった。
矢張り駅撮りは楽でよい。
この後来た内回り電車に乗って中央図書館前停留所へ向かった。中央図書館前電停まで行けば、大通西11丁目は目と鼻の先である。
去年のがやたら気合を入れていただけなのかもしれない。
なんなら今年のはプロジェクションマッピングですらなかった。それでもまあ綺麗ではあったが、去年のようなのを期待して来てしまっていたのでちょっと残念ではあった。
西11からは大人しく西4まで歩いて戻った。
そうは言ってもいい時間だった。
セイコーマートで明日の飯と今日の飯と酒を買い、チカホを歩いて大人しく駅に戻り、普通列車で苫小牧へと向かった。
特急券代は浮いたがタクシー代は掛かる。何分バスなんてものは無いからだ。なんか微妙な気分ではあった。
船に乗り、調理パンを食い、ビールを開ける。
そうは言っても明日は早い。