旭駅本屋

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とりめし

とりめしが食べたい。

 

ふとそう思うことはないだろうか?筆者はある。

弁当マークを付けた駅が時刻表から次々と落伍する昨今、それに相反してか拠点駅で地方の有名駅弁が手に取ることが出来るようになって久しい今日このごろではあるが、矢張りそこに並ぶのは錚々たる1500円オーバーの高級駅弁が殆どであり、地の駅弁屋が何十年も似通ったラインナップで細々と売り続けるとりめしは無いのである。

 

鶏肉は調理するのが難しい。

いや、調理すること自体は簡単なのだ。こってりことこと火を通し、身が隅々まで白くなるまで熱を加え続ければよいのだ。

然し鶏肉を美味しく調理するのはまことに難しい。

しかし、いや、だからこそ、とりめしの鶏の味には感動すら覚えるのである。

 

 

とりめしにも幾つか種類がある。

そもそも名前も「とりめし」であるかどうかは怪しいものなのだ。

あるものはチキン弁当を名乗り、またあるものはかしわ飯を名乗る。

しかしそこにあるのは紛れもない鶏肉と米。これはもうとりめしと言って差し支えないだろう。

故にここではすべて一緒くたにして、鶏肉と米飯が主体となった駅弁を総称してとりめしと言うことにする。そちらのほうが何かと都合が良いだろう。

 

とりめしは基本的に安い。安いから筆者は好んでとりめしを食べる。

安いのは主に原材料が安いからで、とりめしは決してやすさにあぐらをかいて手を抜いている弁当ではないのだ。むしろそこらの高級弁当よりも凝った構成をしていることがほとんどである。

見た目は単調であることが殆どであるものの、飽きない味付け、副菜の分量等、極めて計算されて配置されていることが食べれば食べるほどよくわかる。

 

そのとりめしの中でも筆者のお気に入りがカワカミのとりめしである。

 

飽きない。うまい。そこそこに安い。

これだけでも十分ではあるし、それに加えてほどほどに地のものである野沢菜が入っているのがなお嬉しい。

ちなみに野沢菜は鶏そぼろや鶏唐揚の合間に食べるといいアクセントになる。そこも結構気に入っているところである。

 

しかしそんな駅弁にも一つだけ問題がある。

長野県の中部でしか手に入らないことだ。

松本でも売っているらしいが、あまり松本に行く機会も無いので良いとしよう。

塩尻、岡谷は駅の売店、それもホーム上やホームに面しているところで買えるのでバカ停や乗り換えの合間に買えたりする。それでもそこまで行かないといけないのが少々手間である。上諏訪の駅の売店で売っているがこちらも行かないと買えない。かくしてとりめしを食うのは難しいのである。

あれだけ全国からありとあらゆる駅弁の集う東京駅でも、チキン弁当以外でご当地オタカイチキンを利用した弁当以外の純粋なとりめしとなると取り扱いはほぼないことを鑑みるに、とりめしは現地に行かないとまず買えないのは致し方ないのかもしれない。

 

それはともかくとしてとりめしは美味しいしやすいので手頃な駅弁が食いたい諸兄は旅先で弁当屋を覗いてとりめしを買い漁ってみると面白いかもしれない。とりめしは地方の弁当屋によって趣味趣向がガッツリ分かれるので、食べ比べ甲斐のある弁当でもあるぞ。