「カシュッ!」と快い音とともにもわもわと切り口の辺りから泡が湧いて出てくる。
若干ぬるいビールを呷った。日本のビールは大体ぬるくなると飲めたものではないがこれは例外だ。なんせサッポロクラシックだからだ。
サッポロクラシックは実を言うと近所にある酒のカクヤスでも買えるのだが、こいつは正真正銘北海道で買ったサッポロクラシックである。飲まずに歩いて持ち帰ってきたので今しがた飲んでいるというのが実のところだ。
疲労し、疲弊し、家に着き荷をおろし風呂の用意をしてさあ一杯飲むかといところでこいつを飲んでいる次第である。
筆者はこの4連休で北海道に行ってきた。
大分色々†観光†の出来た連休であったと自負しているので、他のインターネッツ・ツーリストの旅の一助となればと、ここにその仔細を書き記していこうと思う。
まずことの発端である。
北海道に赴任した後輩が居た。この後輩が「ぜひとも北海道に」というので機運をやや高めていたわけだが、北海道は遠い。そして何分そいつは大都市ではない土地にいるので訪れるのが面倒くさい。面倒くさいが、連休なら別であろう。ただし連休は宿が高い。しかし後輩が居るとなればそれは屋根があり布団があるということに他ならず、そうであるならば高止まりする宿泊費の大幅な縮減に寄与しうる。これは使わない手はないだろう。
というわけで、北海道に行くことにしたのである。適当な理由があったほうが大抵ことは進みやすい。
そして言うまでもなく重要なのは経路である。
経路は実を言うと最後の最後まで決まらなかった。目的地は道南である。道南に行くのはいいが、安くそして未履修の案件を幾つか履修しておきたいところがあった。盛の岩手開発鉄道、八戸の三春屋やさくら野、室蘭の製鉄所の構内鉄道…… どうにかしてこれらを組み入れつつ安い経路をと思っていたところで岩手開発鉄道がどうにもウヤであるという情報を仕入れてしまい、気力が無になっていた。なんでやねん。去年の4連休は動いていたやろ!!
とりあえず八戸くらいであれば18券でも行ける。でも行けるというだけであり行く意味はないのだが、まあ行けるんだから行ったほうがいいだろう。多分。4連休でそこまで行程はカツカツではないし。
ノープランであるが、4時に起きて適当に18券で移動しながら行程を組めばええやと連休前夜に算段をつけて、とりあえずは布団に潜り込んだのであった。